内閣府・遠山技術参与が語る「みちびき」の現在と将来、6機運用開始から11機体制へ

日本の位置・時刻インフラを担う準天頂衛星システム「みちびき」。2025年末に5号機を喪失したものの、2026年8月には7号機の打上げに成功した。内閣府の技術参与、遠山大介氏がTimeSync Japan 2026に登壇し、当面の6機運用への対応と、冗長性を高める11機体制の構想を語った。

2026年10月20日に開催された時刻同期の専門シンポジウム「TimeSync Japan 2026」(参考記事)に登壇した内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室 技術参与の遠山大介氏は、準天頂衛星システム「みちびき」の役割と現状、そして将来の拡張構想を説明した。

内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室 技術参与の遠山大介氏

内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室 技術参与の遠山大介氏

同室では、みちびきを「インフラのインフラ」と呼ぶ。電力や通信、金融といった重要インフラに位置と時刻という基盤を供給するシステムだからだ。

遠山氏によれば、みちびきが提供する価値は、正確な位置情報と正確な時刻情報の2点に集約されるという。

日本の経済社会においてみちびきが果たす役割

日本の経済社会においてみちびきが果たす役割

位置情報は地理空間情報と組み合わせることで、スマート農業やドローン物流、ICT施工、自動運転などに生かせる。一方の時刻情報は、送電網管理やスマートグリッド、携帯電話基地局の時刻同期、電子商取引のタイムスタンプなど、重要インフラの広域ネットワークを支える役割を担う。

衛星測位システムを保有するのは世界で6つだけ

世界を見渡すと、衛星測位システムを保有するのは米国、ロシア、欧州、中国、インド、日本の6つの国・地域にとどまる。トルコや英国、韓国も独自システムの構築を検討しているという。

世界の衛星測位システム

世界の衛星測位システム

測位サービスは衛星関連サービスの中でも通信を抜いて最大の市場となっており、1日でも止まれば大きな経済損失が生じる。遠山氏は、日本独自のシステムで24時間365日止まらない測位サービスを維持することの重要性を強調した。

みちびきは、アジア・オセアニア地域に特化した地域衛星測位システムだ。現在は準天頂軌道3機と静止軌道2機の計5機で運用している。

準天頂軌道は静止軌道を40~50度傾けた軌道で、地上からは8の字を描くように見える。静止軌道よりも日本上空に長くとどまるため、ビルなどの遮蔽物が多い都市部でも、天頂付近の衛星を使って測位しやすい。

準天頂衛星システム「みちびき」

準天頂衛星システム「みちびき」

基本サービスはGPSと互換性を持つ衛星測位だ。スマートフォンやカーナビなど大半の受信機がみちびきの信号に対応している。

加えて、独自の測位補強サービスとして、センチメートル級のCLAS(シーラス)、アジア・オセアニア向けのMADOCA-PPP(マドカ)、サブメートル級のSLAS(エスラス)などを提供する。

有償の高精度測位サービスとしてRTK(Real Time Kinematic)測位があるが、それとは異なり、専用受信機さえ用意すれば全国で無償で使える点が強みだ。2026年8月末時点で、対応製品は450以上に達した。ドローン物流の実証では、GPS単独測位で約8mあった位置のずれが、CLASの利用によりRTKとほぼ変わらない水準まで縮まったという。

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