京セラと東北大、シリコン光回路上に直接集積可能な「光アイソレータ技術」を開発

京セラと東北大学 電気通信研究所は2026年9月10日、レーザー光による局所的な熱処理手法「レーザーアニール」を用いて、シリコン光回路上に光アイソレータ(回路内で反射して戻る光を抑え、通信を安定させるための部品)を集積する技術を新たに開発したと発表した。

レーザーアニールを用いてシリコン光回路上に集積作製した、光アイソレータの顕微鏡画像

生成AIの普及などにより、世界のデータ通信量が急増する中で、通信の高速化と省電力化を実現するため、光回路と電子回路を半導体チップと同一パッケージに集積することで、電気信号の伝送距離を短くし、消費電力や信号損失を抑えるCPO(Co-Packaged Optics)の開発が世界的に加速している。

光回路では、内部で反射した光がレーザー光源に入ると、通信品質の低下につながる。この「戻り光」を抑制する光アイソレータは、通信を安定させるために欠かせない。CPOをはじめとする小型・高集積な光回路の実現に向けては、光アイソレータをシリコン光回路上に直接作り込む技術が必要になる。

光アイソレータには「磁気光学ガーネット」と呼ばれる結晶材料が使われるが、この材料に光アイソレータとしての機能を持たせるには、約600℃以上の熱処理が必要になる。しかし、シリコン光回路のチップ全体を高温で加熱すると、チップ上の電極や配線などの他素子に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、周囲の電極や配線に影響を与えず、磁気光学ガーネットだけを適切に熱処理する技術が課題となっていたという。

京セラと東北大学は、この課題を解決するため、熱処理が必要な箇所にのみ局所的にレーザー光を当てて加熱する「レーザーアニール」プロセスによって、光アイソレータをシリコン光回路に直接作りこむ「モノリシック集積技術」の開発に成功し、試作品の動作を実証した。チップ全体を炉に入れて加熱する従来の手法と異なり、周囲の光回路や金属電極への熱的な影響を削減できるという。

開発技術(レーザーアニール)の特徴

また、同技術を用いて、光の干渉を利用する構造のデバイスを試作し、光アイソレータとして動作することを実証した。実験では、信号として進む光(順方向伝搬)と、反射して光源に戻る光(逆方向伝搬)に相当する光出力を比較。その結果、戻り光を約20分の1に低減できることを確認。また、レーザーを照射した部分の磁気光学ガーネットが、シリコン導波路上で良好に結晶化していることも電子顕微鏡で確認したとしている。

光アイソレータ動作の実証実験結果

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