A.T. カーニーは2026年7月21日、通信事業者のネットワークコストと将来設計を分析した論考「簡素化による抜本的コスト削減――未来の通信ネットワークをどう設計するか」を公開した。
モバイル・固定通信のデータ量が増加する一方、通信サービスの差別化が難しくなり、通信事業者の収益性が低下していることを背景とする。同社の分析によると、世界の大手通信事業者10社の投下資本利益率(ROIC)は、2020年の9.7%から2024年には5.8%まで低下したと推計している。
論考では、利用者側のアクセス網と大規模データセンターや基幹網を結ぶ「輸送ネットワーク」に着目した。典型的な大手通信事業者では、同ネットワークが総営業費用の20~30%を占めるという。古い拠点や設備、企業買収によって重複した設備などが残っていることから、短期的な改修を重ねるのではなく、10年後の需要を起点にネットワーク全体を再設計する必要があるとしている。
具体的には、既存の光ファイバーや管路を活用しながら、最新の光通信技術によって中継距離を延ばし、拠点や機器を集約する。利用者側から集約網までのバックホール区間では、中継拠点の無給電キャビネットへの縮小などにより、総保有コスト(TCO)を約50%削減できる余地があるという。

密度に合わせた簡素な通信網の設計を提案
集約区間では、長距離光伝送の採用やネットワーク階層の簡素化により約30%、基幹部分では旧式基盤の廃止と認証・音声通信などの機能の仮想化、クラウド化により約10%のTCO削減余地があると試算した。
移行に当たっては、将来残さない拠点への設備増設を止め、機器が寿命を迎えた段階で撤去する一方、残す拠点に新設備を段階的に導入する「キャップ・アンド・グロー」を提案している。不要となる拠点は売却や転用によって収益化することで、ネットワークコストの削減と資産の有効活用につながるとしている。












