2026年5月27日から開催されている「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2026」では、情報通信研究機構(NICT)が無線通信分野の研究成果を多数紹介している。

NICTブース
ドローン利用を支える通信技術が進化 100台規模の自律的な群飛行も可能に
その1つがドローンの飛行を支える通信技術だ。ドローンの利用ニーズ拡大に対応するには、見通し外や長距離でも安全に飛行できることが必要になる。そこでNICTでは、ドローン同士、またはドローンと有人ヘリコプターを無線で接続し、位置情報を共有する「ドローンマッパー技術」の開発に取り組んでいる。

ドローンマッパー技術の機器群。端末となるドローンには写真右側の黒い通信機を搭載する
この技術では、1台のドローンが制御局となって地上局と通信し、他のドローンは中継局を介して制御局と通信する。この仕組みにより、電波リソースを節約しながら自律的な飛行が可能となる。1つの地上局に対して10台程度の端末による群飛行が可能であり、チャネル制御によって最大100台程度の同時飛行にも対応できるという。
見通し外でのドローンの安全な飛行を可能にするのが「コマンドホッパー技術」だ。169MHz帯の電波を用いて最大3ホップまで中継する技術で、ドローンの制御や監視に利用する。ドローンの制御に使われることの多いLTEは、災害時や山間部では使用できないケースも少なくない。コマンドホッパー技術を応用することにより、こうした環境でも迅速にドローンを運用できるため、災害対応や物資搬送などへの活用が期待されるとのことだ。

コマンドホッパー技術の機器群。各無線機はより小型化を目指す
低軌道衛星とHAPSの光リンク“世界初”実証ヘ向け端末展示
低軌道衛星通信の急速な普及によりNTNへの注目が高まるなか、NICTは電波と光を使い分けながら宇宙と地上をシームレスにつなぐ次世代通信基盤の実現を目指した研究に取り組んでいる。
その一環が「CubeSOTAミッション」だ。NICTは、6U CubeSat(10cm角程度のユニットを6つ組み合わせた超小型衛星)に搭載する超小型高速光通信端末を開発した。CubeSOTA端末は、光通信CubeSatとしてはこれまで最大となる9cm口径の望遠鏡を搭載。端末は約3ユニット相当、約4kgに収められており、光通信端末として初めてビーム拡がり角制御機能を統合したほか、小型MEMSミラーや小型EDFAユニットなども搭載する。
打ち上げは今年を予定。打ち上げ後はまず低軌道衛星と光地上局の光リンクを実証し、2027年には低軌道衛星とHAPSの光リンク実証へ移行する計画で、実現すれば世界初となる。

CubeSOTA端末(右側)。筐体下部の大きな円が望遠鏡。写真左側は小型光通信端末フルトランシーバー
宇宙と地上を結ぶ光通信では、天候や大気ゆらぎによって通信品質が左右されやすいことが課題となる。NICTでは、晴天の地点を選んで通信するサイトダイバーシティや、地上局側で大気ゆらぎを測定・補正する補償光学系などの要素技術の研究開発にも取り組んでおり、その成果もブースで紹介。こうした技術により光通信リンクの安定性を高め、地上、HAPS、低軌道衛星を結ぶ3次元光ネットワークの構築を目指す。
NICTブースではこのほか、「ローカル5G品質を先読みするフィジカルAI」や「ワイヤレスエミュレーションの効率化・高機能化のためのレイヤマネジメント技術の研究開発」など、多様な研究成果が展示されている。会期3日目の5月29日13時30分からは特別講演会場で、研究成果を担当者が直接説明するセミナーも開催される。展示と合わせてチェックしたい。












