東北で夏収穫タマネギ実現へ AI×遠隔営農支援で産地形成

農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、NTTアグリテクノロジー、みらい共創ファーム秋田の3者は2026年3月24日、「遠隔営農支援システム」を活用した実証プロジェクトの成果報告会を秋田県庁で開催した。

国産タマネギは夏場には供給されないため、輸入に頼らざるを得ないが、輸入が途絶えることもある。この課題を解決するため、農研機構、NTTアグリテクノロジー、みらい共創ファーム秋田の3者によって2022年に同プロジェクトはスタートした。コロナ禍で輸入タマネギが滞ったことが契機だったという。

生産者が遠隔地にいる指導者から栽培の支援を受けることができる遠隔営農支援システムを活用し、夏収穫が可能な東北地方でのタマネギ生産を実現を目指している。

(左から)NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長 酒井大雅氏、農研機構 理事長 久間和生氏、みらい共創ファーム秋田 代表 涌井徹氏

(左から)NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長 酒井大雅氏、農研機構 理事長 久間和生氏、みらい共創ファーム秋田 代表 涌井徹氏

同プロジェクトでは、NTTアグリテクノロジーが保有する遠隔営農支援システムの活用・改良に加え、農研機構が東北タマネギ栽培情報提供システムやAI病虫害画像診断機能の開発・実装、さらに農業特化型生成AIの開発・試行を実施。これらを組み合わせ、みらい共創ファーム秋田と連携する東北地方の生産者の農地で、2026年まで実証が行われた。

実証では、生産者が遠隔営農支援システムを通じて、ほ場の気象や栽培の状況などのデータを遠隔地の指導者と共有し、チャット機能などで営農支援を受けた。

チャットを活用した遠隔営農支援

チャットを活用した遠隔営農支援の画面例

あわせて、SOP(標準作業手順書)を基にして開発した、定植や防除の適期を地域に応じて提示する「東北タマネギ栽培情報提供システム」や、初心者には判断が難しい病虫害を識別するための「AI病虫害画像診断機能」を開発し、遠隔営農支援システムとともに利用できるように実装した。

地域の気象条件を踏まえて、東北タマネギSOP(標準作業手順書)に記載された内容を表示する「東北タマネギ栽培情報提供システム」

地域の気象条件を踏まえて、東北タマネギSOP(標準作業手順書)に記載された内容を表示する「東北タマネギ栽培情報提供システム」

実証に参画した生産者からは、3者が連携して構築した仕組みが、生産者の不安解消や利便性向上につながるとの期待が寄せられた。農研機構では農業の専門知識を重点的に学習した「農業特化型生成AI」の開発・試行も進めており、2年後には遠隔営農支援システムと連携し、生産者からの質問に生成AIが回答できるようにするという。

農研機構 理事長の久間和生氏は、今回の実証で得られた成果は大きいとし、他地域・他作物への適用、普及・展開も図っていくことにより、「地域における農業の成長産業化」「食の安定供給」に貢献していきたいと述べた。また、NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長の酒井大雅氏は、遠隔営農支援システムが農研機構のWAGRI(農業データ連携基盤)とうまく連携できたことで、これまでのハウス栽培から路地栽培でも実践的に進化できたと語った。

3者は、今後も「東北タマネギ生産促進研究開発プラットフォーム」と連携し、東北地域におけるタマネギの新たな産地形成と安定生産で、国産タマネギの通年供給の実現に取り組んでいく方針だ。

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。