「DePIN」で社会インフラを“分散維持” ブロックチェーン技術が保守・運用人材不足を救う

人手不足が深刻化するなか、社会インフラの維持にブロックチェーン技術を活用する「DePIN」の取り組みが北米を中心に広がっている。その意義と可能性を探る。

社会インフラの維持・管理には大きなコストが必要になる。通信インフラはその代表例だ。通信事業者は日々、ネットワーク設備の更新や増設に巨額の資金を投じながら、投資効率の向上という難題に直面している。加えて人材不足も深刻化しており、インフラ保守・運用に必要な人員の確保自体が大きな課題だ。

こうしたインフラ維持・管理の構造的な課題へのアプローチとして、近年じわじわと注目を集めているのが「DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)」だ。DePINとは、ブロックチェーンを基盤として、個人や企業が保有する物理資源やデータを活用し、インフラを分散的に構築・維持するという考え方を指す。事業者が中央集権的に所有・管理するのではなく、ユーザーの参加と貢献を前提にインフラを成り立たせる点に特徴がある(図表1)。

図表1 DePINの特徴

図表1 DePINの特徴

日本総合研究所(日本総研) 先端技術ラボの會田拓海氏は、「DePINという言葉自体は2022年に登場したが、ブロックチェーンを用いて分散的にインフラを維持しようという発想そのものはそれ以前からあった」と説明する。そもそもブロックチェーン技術の代表的な活用例であるビットコイン自体が、計算資源となるノードを提供するユーザーに対して報酬を支払う仕組みを持っている。DePINという言葉が生まれたことで、同様の目的を持つプロジェクトの全体像が捉えやすくなった。

日本総合研究所 先端技術ラボ アナリスト 會田拓海氏

日本総合研究所 先端技術ラボ アナリスト 會田拓海氏

個人や組織が保有する資源を第三者と共有し、活用するという点だけを見ると、DePINはシェアリングエコノミーと重なる部分がある。レンタルスペースや民泊、スキマバイトなどに代表されるシェアリングエコノミーは、すでに社会に広く浸透している。

ただ、重視する価値には違いがある。會田氏は、シェアリングエコノミーが主に個人の経済性を高めることに焦点を当てているのに対し、DePINは社会インフラの維持や社会課題の解決といった、より公共性の高い価値の創出を目的としている点を挙げる。

そのためDePINでは、トークンをインフラ構築・維持のための資金調達手段としてだけではなく、参加者の貢献や取引の履歴を可視化する仕組みとして利用している。さらに、貢献や取引の履歴がブロックチェーン上に記録され、報酬の支払いも自動化されているため、履歴の改ざんや不正な操作を防げることも特徴だ。

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