NTT東日本 神奈川事業部、フルノシステムズ、IIJ、芦之湖漁協は2024年5月16日、IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow)とLoRaWANを芦ノ湖の監視・管理に活用する実証実験を開始したことを発表した。
神奈川県西部に位置する芦ノ湖は県内最大の湖で、ニジマスやブラウントラウト、ヤマメ、ワカサギなどが釣れる。芦之湖漁協では漁業規則を定めているが、これを守らず届出を行わない不法操業者が問題となっている。その早期発見のためには巡回監視が不可欠だという。
また、遊漁者向けにホームページで水温情報を提供しているが、このための計測の稼働負担も課題となっている。
これらの解決のため、この実証実験では次の2つの取り組みを行う。
システム構成イメージ図
まず、Wi-Fi HaLowを利用したカメラ監視だ。湖岸にネットワークカメラを設置し、監視カメラの人物検知やモーション検知機能を活用して違法・不法操業者の監視を行う。カメラの映像はWi-Fi HaLowで1.1km離れた対岸の拠点に送信する。
監視カメラ撮影画像。船上の人物を検知している
湖岸の監視カメラ(ソーラーパネルとバッテリーで稼働)
もう1つは、Wi-Fi HaLowとLoRaWANによる水温センシング計測だ。芦ノ湖の2か所に水温センサーを設置し、一方はWi-Fi HaLow、もう一方はLoRaWANでそれぞれ別の拠点に水温情報を送信。ホームページでの水温情報提供に利用する。
機器設置イメージ図
実証実験において、NTT東日本 神奈川事業部が全体統括、フルノシステムズがWi-Fi HaLow関連機器およびサービス提供・運用、IIJがLoRaWAN関連機器およびサービス提供、運用を担当し、芦之湖漁協は実証フィールド提供と監視・管理の運用稼働把握を行う。
NTT東日本はWi-Fi HaLowの実証を畜産場や都市型農場で実施しているが、より遠距離の通信環境下での検証が必要となっていたこともこの実証に至った背景にあるという。
芦之湖漁協の福井達也組合長は、「各ポイントのリアルタイムな映像と水温等の情報提供だけでなく、事故や災害における映像の記録まで活躍の場は多岐に渡り、また今後予測される慢性的な人材不足という課題に対しても活用できるものと思われます」とコメントを寄せている。