IDC Japanは2023年12月20日、国内データセンター(DC)インターコネクションサービス市場予測を発表した。
DCインターコネクションサービスとは、DCサービス事業者などが一般企業やサービスプロバイダー向けに、異なるDCロケーションの自社設備やクラウドサービス、他企業/事業者などとのデータ交換(相互接続性)を提供するサービスを指す。同サービスの提供開始当初は、DCサービス事業者のコロケーションサービスを利用する顧客を主な対象としていたが、現在ではコロケーションサービスを利用していない企業への提供や他事業者DCへのサービス基盤の拡張、自社ではDCを保有しないNaaS事業者によるサービス提供など、対象顧客やプレイヤー間の競争に変化が生じている。
IDCでは、2027年の国内DCインターコネクションサービスの売上額を997億6800万円、2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を9.5%と予測する。
国内データセンターインターコネクションサービス市場 売上額予測、2022年~2027年
国内DCインターコネクションサービスの売上額は、2022年に前年比11.7%増の 632億5000万円となった。一般企業では、クラウド活用の広がりやマルチクラウド化の進展によって、パブリッククラウドサービスなどへの柔軟な接続性を確保するため、DCインターコネクションサービスを利用するケースが増加している。今後は、クラウド環境へのトラフィックフローの管理および最適化、ロードマップに基づくデジタルインフラストラクチャ構築などの需要を背景に、市場がいっそう拡大するとIDCでは見ている。
IDC Japan株式会社 Infrastructure & Devicesのシニアマーケットアナリストである水上貴博氏は、「企業のクラウド需要が生む収益機会を獲得するため、DCサービス事業者はクラウド接続性の強化が急務である。また、通信事業者はWANサービスのオプション以外のクラウド接続サービスの整備、システムインテグレーターは顧客がプライベートクラウドやAIを始めとする自社ソリューションにセキュアかつ柔軟に接続できるDCインターコネクションサービスの構築/強化が重要となる」と述べている。