ウェスティンホテル東京(東京都目黒区)は2011年1月27日、臨場感溢れる高画質テレビ会議が行える「テレプレゼンス」を時間単位で利用できる「パブリック・テレプレゼンス・ルーム」の運用を開始したと発表した。
「パブリック・テレプレゼンス・ルーム」の利用イメージ |
●出張先のホテルにいながらテレビ会議ができる
テレプレゼンスは、高精細画像と高音質が特徴のテレビ会議システムで、写真のように、離れた場所に居ながら同じテーブルを囲んでいるかのような臨場感を再現する。「パブリック・テレプレゼンス・ルーム」とは、このシステムを時間単位の利用料金で提供するものだ。インドの通信事業者であるタタ・コミュニケーションズが、テレプレゼンスシステムを提供するシスコシステムズ等との提携により2008年から展開しているサービスで、今回のウェスティンホテル東京は日本国内では初、世界で29拠点目となる。
利用者は、タタ・コミュニケーションズのポータルサイトから場所と時間を指定して予約し、クレジットカードで決済するだけで使える。予約した日時に、指定したルームに行くと、自動的にシステムが立ち上がり、相互の拠点の映像が映し出される仕組みだ。
タタ・コミュニケーションズのテレプレゼンスパブリックルーム担当商品開発部長であるクリストファー・ステファン氏 |
ホテル等の施設に設置された29カ所のパブリック・テレプレゼンス・ルームだけでなく、シスコのテレプレゼンスを自社で導入している企業は、自社の「プライベート・ルーム」とも接続することができる。タタ・コミュニケーションズのテレプレゼンス・パブリック・ルーム担当商品開発部長であるクリストファー・ステファン氏は、実際に使用されている例として、次のようなケースを紹介した。
「例えば、ニューヨークに本社がある大手投資銀行では、社長が、テレプレゼンスのない拠点に出張したときに、ホテルにあるテレプレゼンス・パブリック・ルームと、ニューヨーク本社のテレプレゼンスとの間で会議を行っている。最近は、こうした依頼がどんどん増えている」
なお、接続できるプライベートルームは、タタ・コミュニケーションズのネットワーク内に限らない。ブリティッシュ・テレコム(イギリス)、テレフォニカ(スペイン)などの通信事業者、サービスプロバイダーとの接続も可能という。
●「ホテルの付加価値向上」に期待
ウェスティンホテル東京のテレプレゼンス・パブリック・ルームの利用料金は、1時間当たり5万2500円(税込、以下同)。サービス提供はすでに始まっており、2011年2月1日から同4月末までは、1時間当たり4万2000円で利用できるキャンペーンも行う。
ウェスティンホテル東京の宿泊部長・越川慎一氏 |
今回の取り組みについて、ウェスティンホテル東京の宿泊部長・越川慎一氏は、「自社でテレプレゼンスを保有するには、多大なコストがかかり、またスペースも確保しなければならない。パブリックルームとしてご提供すれば、誰でもいつでも必要なだけ利用していただける」とアピール。加えて、「客室やレストランなどの附帯施設と併用していただくことで、当ホテルの利用価値そのものがより大きくなる」と話した。
例えば、海外の拠点とミーティングを行う場合には、日本時間の夜中や早朝などに実施するケースも多い。それに合わせて出社し、テレビ会議をするのは大変だ。だが、宿泊しているホテルの部屋から数分で辿りつけるパブリック・テレプレゼンス・ルームで会議ができれば、便利なだけでなく、精神的・肉体的にも負担はない。合わせてルームサービスも使えるし、ホテル内のビジネスセンターでFAXやコピーなどのサービスも受けることができる。「ミーティング後は、スパやフィットネスセンターでリフレッシュしていただきたい」と越川氏。テレプレゼンスルームそのものの収益よりも、他の施設やサービスとの相乗効果に期待を込めた。