今、あらゆる業界でデジタル変革が進みつつある。日本のモノ作りを支えてきた工場はIoTや5Gを駆使してスマートファクトリーへ、車はコネクテッドカーへ、そして重要インフラも遠隔監視・操作によってデジタル化されたオペレーションへと、社会の隅々までデジタル化が進み、単に効率化するだけでなく新たな価値を生み出す取り組みが広がっている。
それを支えるのが通信サービスだ。あらゆる組織、あらゆる人、そしてあらゆるものをつないでデータを蓄積し、分析し、よりよいサービスにつなげていく上で、通信は文字通り生命線となる。もし通信が正常にできない状態に陥れば、重要なインフラとして社会全体に大きな混乱を生じさせ、企業としての責任、損害賠償、イメ―ジの低下など、事業者には大きなダメージが生じる。
もちろん通信事業者は、高品質のサービスを安定的に提供するため、ユーザーから見えないところで、長年にわたってさまざまな努力を重ねてきた。だが、デジタル化を加速させる新たなテクノロジーが広がるにつれ、通信事業者にかかる期待とプレッシャーは高まる一方だ。
マイクロフォーカスでチーフ・テクノロジストを務めるスティーブ・ヒューイット氏はこう語った。
マイクロフォーカス チーフ・テクノロジストのスティーブ・ヒューイット氏
「通信事業者は、これまでと同じ人的リソースで、デジタル化する社会のニーズに対応していかなければなりません。エンドツーエンドで可視性を確保し、もし障害があれば迅速に影響範囲と原因を特定して、顧客に実影響が及ぶ前に解決することが求められています」
加えて通信事業者自身も、新たなテクノロジーと新たなプロセスを取り入れ、「伝統的なキャリア」から「デジタルサービスプロバイダー」への変革をいかに図るかが課題となっている。
通信事業者は、加速するデジタル化にどう対応していけばいいのか。その鍵を握るのが「AIOps」と呼ばれる取り組みだ。監視を通じて蓄積されていく大量のデータを ML (Machine Learning)やAI (Artificial Intelligence)技術を駆使して分析し、そこから得られた示唆を元に迅速な障害対応などを支援していく。