「会議」以外へ拡がるビジュアルコミュニケーション活用事例 【Case 1】現場のモニタリングにNWカメラ活用――「工場見える化システム」で課題共有

ビジュアルコミュニケーションシステムは、在宅勤務や遠隔教育/セミナー、遠隔医療、品質管理など、活用範囲を加速度的に拡げている。それらの用途で業務改善にどのように貢献しているのかを紹介していく。今回は、現場のモニタリングに活用している例だ。

離れた現場の状況を把握するのに、映像ほど便利なものはない。ネットワークカメラで現場の状況を撮影し、それを遠隔地から閲覧すれば、トラブル発生時に迅速な対応ができるし、発生前の映像を確認してその原因を分析することも可能になる。

最近はカメラの高画質化が進んでいる。工場や商業施設のような広い場所で人の動きや機械の稼動状況を俯瞰的に捉えることも、高倍率のズーム機能を使って、見られていることを意識させずに作業員の手元や商品棚の陳列状況などを確認することもできるようになった。

管理者が現場に足を運んでも、普段の様子はなかなか見えない。高品質なネットワークカメラの映像は、取り繕っていない状況を「見える化」するのに役立つ。通常時の状況を把握して改善点を見つけ出し、業務効率の向上を図ることも可能になる。

見える化の後は「見せる化」

生産現場の効率改善を目的としたパナソニック システムソリューションズ ジャパンの「工場見える化システム」は、ヤクルトの富士裾野工場や、梱包材製造メーカーであるレンゴーの東京工場など、120社・160拠点に導入されている。

ネットワークカメラシステム「i-pro」と、工場見える化システム基本ソフト、生産設備や管理システムからのアラーム情報によりカメラとレコーダーを制御するソフトウェア「DEJIDON(デジドン)」、デジタルサイネージシステム「NMstage」から構成されており、工程進捗管理のシステムとも連携が可能だ。遅れが発生した場合には、アラーム情報を元にカメラを制御してその場所の映像を自動的に捉える。下写真のように、管理者が生産ラインの状況を把握して改善点を洗い出したり、障害発生をいち早く知るために用いられている。

ネットワークカメラでモニタリング ネットワークカメラでモニタリング
通常時は、生産現場の様子をモニタリングしたり、進捗管理のデータを表示する 異常発生時にはアラート表示に切り替わるとともに、カメラを障害現場に振り向ける

海外拠点のようにネットワーク環境が劣弱な場合でも、夜間に記録映像を国内オフィスに送れば、翌日にはすぐに的確な指示が出せるし、映像を現地と国内で共有することで、改善策や教育内容にも反映できる。現地への人員派遣の判断材料にもなり、人件費・出張費の削減も図れる。

また、工程各所にもディスプレイを配置し、そこに動画マニュアルや工程の進捗状況などの情報を表示するといった、作業員への情報配信の用途でも用いられている。デジタルサイネージの機能を活かしてディスプレイの配置場所に応じた的確な情報を流し、多数の作業員に一斉に情報を周知させることができる。

月刊テレコミュニケーション2010年3月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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