【ICT業界に期待される役割】Web3とメタバースはビジネスをどう変えるか

Web3とメタバースはインターネットの有り様と、そこで展開されるビジネスを大きく変容させる可能性がある。その影響はあらゆる業界に及ぶが、現時点でこれを自分ごととして捉え、ビジネスに取り入れる企業は多くない。日々の暮らしやビジネスに直結するユースケースが、まだ十分に育っていないからだ。

私たちはこのトレンドにどう向き合えばいいのか。アクセンチュアが2022年に立ち上げた、Web3/メタバースを専門に扱うメタバースコンティニュアムビジネスグループでマネジング・ディレクターを務める坂本啓介氏は、「企業はWeb3の特徴やメリットを踏まえて、消費者に直結するユースケースを作っていくことが必要」と話す。

Web3の構成要素とは

まず、Web3とメタバースの特徴を整理するところから始めよう。

Webの発展という視点で捉えれば、2010年代から続くWeb2.0がGAFAに代表されるプラットフォーマーによる中央集権的な世界だったのに対し、Web3は「分散化」を志向している点が最大の特徴だ。

その基盤技術となるのが、ブロックチェーンである。ネットワーク上でデータを分散処理・記録することができるこのデータ同期技術を用いて、非集中型のインターネットを実現しようというのがWeb3の基本思想と言える。三菱総合研究所(MRI)政策・経済センター 主任研究員の仙頭洋一氏は、「集中的にデータを管理するのではなく、分散したプレイヤーが同じように安全に同期できるようにする分散台帳技術。これを使っているところが、Web3の技術的な違いだ」と説明する。

キーとなる要素は他にもある。「トークンエコノミー」だ。デジタル通貨によって形成される新たな経済圏のことである。従来の経済圏とは異なるかたちでモノやコトに価値を生じさせる、銀行等の決済サービスを介することなく人・組織間で直接的に報酬を支払ったり、資金を調達することが可能になる。

三菱総合研究所 政策・経済センター 主任研究員の仙頭洋一氏(左)と、政策・経済センター 研究提言チーフ(情報通信)の西角直樹氏

三菱総合研究所 政策・経済センター 主任研究員の仙頭洋一氏(左)と、政策・経済センター 研究提言チーフ(情報通信)の西角直樹氏
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