KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの3社は2023年10月19日、NTT法の在り方について説明会を開催。各社のトップが出席し、NTT法についての見解を披露した。
口火を切ったのが、KDDI 代表取締役社長 CEOの髙橋誠氏だ。
「時代に合わせたNTT法の見直しは必要であり賛成。ただし、国民の利益が損なわれる廃止には絶対反対」と語った。
具体的には、研究成果の開示義務、社名変更、取締役の選任・解任、外国人の取締役禁止などに関する規定については、国際競争力の強化に向けて見直しが必要とした。
一方、今後も維持しなくてはならないものとして、NTTグループの再統合や一体化の防止によるNTTグループと他事業者との公正競争確保、既存6000万ユーザーへの通信サービスの提供義務の維持(ラストリゾートの確保)、公益性の高い通信に対する外資規制による保護の3点を挙げた。
続いて、ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏も「結論から言うと、NTT法の見直しについては賛成だが、廃止は絶対反対」と述べた。
そのうえで、「NTTは特殊法人であり、局舎や電柱といった電電公社時代からの公共資産を受け継いだ会社としての責務がある」と指摘。NTTが完全民営化を望むのであれば、「電電公社時代に25兆円かけて整備した公共資産をすべて国に返還し、国が監督責任を持つべきだが、現実的には難しい。NTT法を一部改正し維持することで、引き続きNTTが公共資産を有する特殊法人として責務を負うことが妥当」との考えを示した。
また、NTT法見直しに関する議論の発端となった、防衛費増額の財源確保策として政府が保有するNTT株を売却する案については、「NTTが電電公社から受け継いだ資産には土地もあり、東京ドーム300個分にもなる。国に返還し売却すれば、株の売却代金を上回るのではないか」との持論を語った。
楽天モバイル 代表取締役 共同CEOの鈴木和洋氏は、NTT法の撤廃により、「例えばNTT東日本/西日本とNTTドコモの連携が可能になれば独占回帰を促し、通信料金の再値上げなど国民負担の増大につながる恐れがある」との懸念を述べた。
また、NTTや政府は国際競争力の強化の観点からNTT法の規制撤廃を求めていることに対し、「日本からGAFAMが出てこないと言われるが、米国ではAT&Tやベライゾンなど通信事業者から出てきたわけではなく、NTT法を改正したからといって日本にGAFAMが生まれるわけでない」と否定した。