「今後のユニバーサルサービスは、モバイルを軸とした体系に見直すべきだ」。総務省 ユニバーサルサービルWGに出席したNTTの島田明社長はプレゼンの冒頭、こう発言した。
NTTは、国民に不可欠なユニバーサルサービスとして電話+メッセージサービス、ブロードバンドをモバイル中心で提供すべきとする。
LINEや+メッセージなどのメッセージサービスは、平時・災害時ともに重要なコミュニケーション手段となっていることも踏まえ、最低限のコミュニケーションツールとして国民の利用を保証。利用者は、モバイル(電話+メッセージサービス)とワイヤレス固定電話等(電話のみ)から選択する。
電話のユニバーサルサービスの提供主体は、モバイル中心となることで、NTTドコモだけでなくKDDIやソフトバンクなど全MNOを対象に、既存の提供エリアでの退出規制と提供エリア内で電波が届かない場所への拡大・提供義務、未提供エリアにおけるラストリゾート(最終保障提供)義務を課す。
ブロードバンドについては、Webブラウザによる基本的な検索機能に加えて、リモートワークやリモート教育など、真に国民に必要なサービスの定義と、光だけでなくモバイルで実現するためのスループット保障の在り方も検討を行う。
その実現に向けてMNOに対し、既存の提供エリアでの退出規制を課すほか、提供エリア内で電波が届かない場所への拡大・提供義務、さらに必要な品質基準を満たさないエリアについて、設備増強等による品質保証義務を課す。
「これらのサービスについて、各地域に最も適した方法で最も適した事業主体がユニバーサルサービス責務を担うよう、行政が適切な事業者を指名する仕組みとすべき」(島田社長)というのがNTTの主張だ。
現状、NTT東日本・西日本は、NTT法で固定電話を「広くあまねく」提供することが義務付けられているが、NTTのユニバーサルサービス案では「従来の固定電話の形態で利用したい」というニーズに応えるため、ワイヤレス固定電話等の全国提供により、電話のラストリゾート責務を担う。
また、FTTHについても、最も適した事業者が存在しない、指定した事業者が事業を行うことが困難といった理由から提供主体が存在しない地域においては、「必要十分かつ過大でない交付金制度」「他事業者の設備を活用したサービス提供の実現」などの条件が整えば、ラストリゾート責務を担うという。
さらに、基地局へのアクセス回線は、光提供・未提供エリアを問わず、電気通信事業法の接続ルールに基づいて引き続き提供するとしている。