6Gでは、5Gより遥かに多様なユースケースが想定されている。用途ごとに適した特性を持つ周波数帯を選択的に使用したり、性質の異なる複数の帯域を組み合わせて利用するといった、これまでにない周波数の利用形態が必要になる可能性がある。
例えば、6Gの代表的なアプリケーションと考えられている没入型コミュニケーションを多くのユーザーが快適に行うには、数Gbpsを超える高速・大容量通信が必要だろう。その実現には、数百MHz幅といった広い帯域を利用できるミリ波(24~90GHz)や、サブテラヘルツ波(90~300GHz)という高い周波数帯の利用が不可欠となる。現実世界とサイバー空間で膨大なデータをやり取りするサイバーフィジカルシステム(CPS)でも同様のことが言えるだろう。
他方、使いたい場所でいつでも通信ができる「ユビキタス通信」を実現するには、1つの基地局で広い範囲をカバーできるローバンド(1GHz以下)やミッドバンド(1~6GHz)が使いやすい。
そこで6Gでは、様々な周波数帯で利用されることが想定されている(図表1)。6Gで新たに開発される無線インターフェース(仮に「6G NR(New Radio)」と呼ぶ)には、新たに利用が可能になる高い周波数帯で効率的に高速・大容量通信を行えるだけなく、ローバンドやミッドバンド、ミリ波といった既存の移動通信用帯域を5G/4Gと共用できる能力も求められる。