IIJが直接水冷モジュール型データセンター稼働へ、大規模AI基盤の参照モデル目指す

IIJとPreferred Networks(PFN)、北陸先端科学技術大学院大学の3者は、共同で開発した直接水冷式モジュール型データセンター「AImod(エーアイモッド)」の本格運用を2026年4月から開始する。

AImodは、ラック内サーバーの冷却にDLC(Direct Liquid Cooling)と呼ばれる水冷方式を採用している。サーバー内に直接冷却水を供給して、水配管や、チップに直付けされるコールドプレート(冷却プレート)に冷却水を通すことでCPU/GPUを冷却する。空冷に比べて冷却効率を大幅に高められる。

3者はこのAImodを、千葉県白井市にあるIIJの白井データセンターキャンパス(白井DCC)に設置。高密度GPUサーバーを活用したAI計算基盤の構築・運用のためのテストベッドとして運用を始める。

冷却水配管およびコンテナデータセンター外観

IIJの白井データセンターキャンパスにAImodを設置し、運用する。
写真は冷却水配管およびモジュール型データセンターの外観(IIJ提供)

この取り組みは、3社がNEDO委託事業に共同提案して2023年に採択された「超高効率AI計算基盤の研究開発」の一環だ。

従来のCPUサーバーと比べて消費電力が数十倍にも達する高性能GPUサーバーを用いるAIデータセンターでは、必要な電力量を賄うことが第1の課題。さらに、発熱量の大きさに見合った効率的な冷却方式を組み合わせることが必須となる。AI計算基盤を持続的に発展させるには高性能なAI向け半導体の調達・導入だけでは足りず、「ネットワーク、高密度実装、冷却、給電といった複数の技術要素を組み合わせることが必要」と、IIJ 常務執行役員 ネットワークサービス事業本部長の山井美和氏は話した。

そのうえで、同氏は「現在は海外メーカーのチップを搭載したサーバーが使われているものの、さらに高度なAI計算機能の必要性が高まっており、国際競争力の観点から国内で設計から高度化まで担える体制を構築することが重要」と強調。AImodによるテストベッドにおいてAI向け半導体、高密度実装、高効率冷却などの要素技術間の連携や相互運用性を検証し、「実用を想定したAI計算基盤用データセンターのリファレンスモデル(参照モデル)を開発する」。

IIJ 常務執行役員 ネットワークサービス事業本部長の山井美和氏と、PFN AIコンピューティング事業本部コンピューティングイノベーション部 部長の浅井大史氏

IIJ 常務執行役員 ネットワークサービス事業本部長の山井美和氏(左)と、
PFN AIコンピューティング事業本部コンピューティングイノベーション部 部長の浅井大史氏

直接水冷(DLC)と空冷のハイブリッド冷却

AImodは、直接水冷(DLC)と、従来型の空冷を併用するハイブリッド型とした点が特徴だ。

PFN AIコンピューティング事業本部 コンピューティングイノベーション部 部長の浅井大史氏は、「発熱するのはチップだけではなく、電源モジュールや基盤からの発熱もある。水で冷やせない部分は空冷とする必要があるため、ハイブリッド方式を採用している」と説明した。ラック内には空冷式のネットワーク機器も稼働しており、設備全体でみると、水冷と空冷の割合は7対3程度になるという。

AImodのイメージ図と主要機能

AImodのイメージ図と主要機能

冷却水は、冷却液分配ユニット「CDU(Coolant Distribution Unit)」により循環され、温まった冷却液は、屋外に置かれるチラー(冷却装置)で冷やされる。DLCを採用するAIインフラでは、従来のデータセンターにはなかったこれらのファシリティを設置・運用する必要がある。

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