ワイヤレス給電が変えるフィジカルAI開発 エイターリンクが示す「Real-to-Sim」の可能性

エイターリンク VPoE(Vice President of Engineering)の彦坂慎吾氏

2026年7月31日に開催された「フィジカルAI開発Conference2026」で、エイターリンク VPoE(Vice President of Engineering)の彦坂慎吾氏が「ワイヤレス給電がつなぐPhysicalとDigital」と題して講演した。

彦坂氏は、フィジカルAIの精度を高める上で欠かせない要素についてこう語った。「フィジカルAIでは、ロボットや設備が現実世界の状況をどれだけ正確に把握できるかどうかが、判断や制御の精度を左右する。よって、現場のさまざまな場所にセンサーを設置し、多くのデータを収集することが欠かせない」

しかし、従来のセンサーは電源ケーブルを必要とするケースが多く、配線が難しい場所には設置が困難。取得できるデータに限界があったという。

そこで同社が開発したのが、長距離ワイヤレス給電技術「AirPlug」だ。AirPlugは920MHz帯のマイクロ波を利用し、彦坂氏によれば、最大17m離れた場所まで給電できるほか、給電角度の制約が少なく、極めて低い消費電力で動作する。スマートフォン向けのワイヤレス充電のように近距離で大きな電力を送る方式とは異なり、離れた場所に設置した多数のセンサーへ継続的に電力を供給できる点が特徴だという。

エイターリンクが開発した長距離ワイヤレス給電技術「AirPlug」の概要

「ワイヤレス給電はあくまで電源であって、その電源を使って何ができるか、どんな価値を提供できるかが最も重要だ」と彦坂氏。AirPlugの価値は、配線なしで電気を送ること自体ではなく、これまで設置が難しかった場所にもセンサーを配置できるようにする点だと説明した。

例えば、回転する設備の内部や加工機の刃先など、電源ケーブルを引き回せない場所でも継続的なセンシングが可能になる。これにより取得できるデータの量や種類が増え、フィジカルAIが現実世界をより正確に認識し、判断や制御の精度を高めることにつながるという。

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