米AT&Tの全米基幹ネットワークを流れるトラフィックの8割超、1日あたりで約840ペタバイトをさばいているのは、大手ベンダーの専用ルーターではない。汎用ハードウェアのホワイトボックスと、その上で動くイスラエル発のネットワークOSだ。
「DNOS」と呼ぶそのソフトウェアを手がけるドライブネッツの日本法人、日本ドライブネッツは2026年10月7日、同社として初となる事業説明会を開催した。
代表取締役社長の井上雅雄氏はドライブネッツの取り組みを、メインフレームから標準的なサーバーとソフトウェアの組み合わせに置き換わったコンピューター業界の変化になぞらえた。長年、ハードウェアとソフトウェアを一体で提供してきた大型ルーターを分離・オープン化し、汎用ハードウェア上でソフトウェアを動かす「オープンネットワーキング」が、同社の事業の核だ。

ドライブネッツは2016年にイスラエルで創業。従業員は700人超で、その約75%を技術者が占める。2026年6月にはシリーズDで4億1000万ドルを調達して累計調達額が10億ドルを突破し、AMDも新たに出資した。
もっとも、営業本部長の竹林正美氏が強調したのは調達額ではない。2025年からキャッシュフローが黒字で、10億ドル超の受注を確保しているとして、「調達したお金で走っている会社ではなく、すでに事業として回っている会社」と語った。
通信事業者ネットワーク(キャリア網)向けの「サービスプロバイダーネットワーキング」と、AIデータセンター向けの「AIファブリック」が二本柱だ。

ネットワーク機器の分離・オープン化とはそもそも、どういうものか。
ルーターは、転送処理を担うASIC、筐体、OS、光トランシーバーの大きく4要素で構成される。シニアセールスエンジニアの佐々木俊輔氏によれば、2010年代以降、これらを個別に調達できるようになったことで、ルーターのディスアグリゲーション(分離)が広がったという。ドライブネッツは、ブロードコムのASICやAccton、UfiSpaceなどODM各社のホワイトボックス、複数社の光部品を自社開発のネットワークOS「DNOS」で束ね、1台のルーターとして提供する。
こうしたディスアグリゲーテッド型のネットワーク構築で常に課題となってきたのが、「分けたあとに、どうまとめるか」だ。部品をばらばらに買って組み合わせるのがユーザーの負担になるのであれば、オープン化・分離の魅力は失われてしまう。

そこでドライブネッツが展開したのが、組み合わせの検証から品質保証、導入支援、導入後のサポートまでを単一の窓口で担うという戦略だという。佐々木氏は「我々は、ホワイトボックスの上で動くOSを売っているだけの会社ではない」と述べた。