NECは2024年2月5日、NEC我孫子事業場(千葉県我孫子市)の太陽光発電設備で発電した余剰電力の、NEC本社ビル(東京都港区)への送電を開始した。遠隔地で発電した電力を電力会社の送配電ネットワークを利用して送電する自己託送により、自社発電による再生可能エネルギーの利用を拡大する。
本取り組みでは、発電量と電力消費量の高精度な予測などを可能とするNEC独自のAI技術を活用している。これにより、NEC本社ビルの年間消費電力において、最大約10%を我孫子事業場からの自己託送による再エネでまかなうことが可能となり、CO2排出削減量についても年間最大約100トンの効果を見込んでいるという。
NEC本社ビルでは、これまで電力会社が提供するグリーン電力メニューや非化石証書の活用を進めてきたが、今回の取り組みによって自社発電による再生可能エネルギーのさらなる利用拡大を実現するとしている。
NEC本社ビルへの自己託送は、約4MWの発電能力を有する我孫子事業場の太陽光発電設備において、事業場内の消費電力が少ない休業日などに発生した余剰電力を電力会社の送配電ネットワークを利用して送電する。
自己託送を行うためには、発電量と電力消費量の予測からその差分を計算して電力広域的運営推進機関に自己託送計画を提出し、自己託送当日のインバランスを管理・抑制する仕組みが必要となる。今回の自己託送の運用では、NECが独自開発したAIを用いることで、事業場内での消費電力の実績データや将来の気象データなどから高精度に発電量や電力消費量を予測。さらに、蓄電池設備と組み合わせることで高度なインバランス管理を実現しているという。
我孫子事業場では今後も太陽光発電設備の増設を予定しており、将来的には、本社ビルの需要に対する自己託送による割合を20%まで高めることを目指すとともに、NECグループ全体における拠点間の自己託送の取り組みを進める。また、今回の導入実績における知見やノウハウを活かし、企業や自治体向けに提供している「NEC Energy Resource Aggregation クラウドサービス」の自己託送支援機能を強化する。