国内最大級のネットワーク更改プロジェクトが現在進行中だ。主導するのはデジタル庁。ネットワークなど、政府共通の標準的な業務実施環境を提供する「ガバメントソリューションサービス(GSS)」のことである。
政府職員の日々の業務を支えるデジタル基盤は従来、府省庁間を結ぶ「政府共通ネットワーク」を除くと、各府省庁が個別に調達・整備してきた。しかし今、デジタル庁が一括して調達・整備するGSSへの移行が進んでいる。
「デジタル社会の実現に向けては、行政機関が利用するデジタル基盤の高度化も必要だ。デジタル庁が一括調達することで、規模の経済を働かせながら、各行政機関でバラバラだった業務実施環境を1つの標準的なスタイルに統合していく」とデジタル庁 参事官 省庁業務サービスグループの古川易史氏は語る。
GSSが提供するのはネットワークに加えて、業務用PCやWeb 会議やチャット、グループウェアなどの基本的なICT環境である。2021年9月に発足したデジタル庁を皮切りに、今年3月までに農林水産省や宮内庁、内閣府、消費者庁などがGSSの導入を完了。約1300拠点・約3万4000ユーザーへ展開済みだ。他の府省庁もLANの更改時期などに合わせて順次導入していく計画で、約1055拠点・約1万8700人の法務省、約578 拠点・約6万8600人の国税庁などの導入が控える(図表1)。
ただ、GSSで注目すべきは、その規模だけではない。ダークファイバーの活用やゼロトラストセキュリティなど、意欲的に様々な技術を取り入れていることも大きな特色だ。政府の業務を支えるネットワークで今、一体何が起きているのか。GSSネットワークについてレポートする。