「未来の働き方」をZoomと拓く 井村屋、東京大学、NECが語った最前線

未来の働き方を左右するハイブリッドワークとAIの力

冒頭のキーノートに登場したZVC JAPAN 代表取締役会長兼社長の下垣典弘氏は、未来の働き方を左右する2つのトレンドに触れた。

1つはハイブリッドワークの定着だ。下垣氏は、パンデミックの間に広まったリモートワークが近頃、元へ戻りつつあるとする一部の見方に、こう反論した。「昔へ戻っているのではなく、ハイブリッドワークという全く新しいところへ向かっているのです」。人材不足が指摘される中、ハイブリッドワークの導入の有無が、優秀な人材確保のカギになるケースも珍しくなくなっているという。

ZVC JAPAN 代表取締役会長兼社長 下垣典弘氏

ZVC JAPAN 代表取締役会長兼社長 下垣典弘氏

もう1つのトレンドは、昨今話題の「AI」だ。「チームリーダーの75%以上が、AIを活用したより効率的なコラボレーションのあり方を模索しています」。さらに下垣氏は、AIへの投資額は2030年に現在の20倍になる、つまり20倍の投資が求められるという予測を引き合いに出し、今どういったテクノロジーに投資するかが重要なターニングポイントになるとした。

「私たちは今、本当に大きな変革期を迎えています。いつでも、どこでも、どんな手段やデバイスでも、会話や画面共有しながら人とつながり、生産性を向上できる時代に来ました。加えて生成AIがその変革を後押しするという、これまで人類が経験したことのない新しい時代が到来しつつあります」

この新しい時代に向け、Zoomはミーティングやチャット、電話、スケジュール管理などのソリューションが統合されたコミュニケーションプラットフォーム「Zoom Workplace」の拡張を続けており、これら機能で共通に使える生成AIアシスタント機能「Zoom AI Companion」を有料アカウントで利用しているユーザーへ無償提供している。

例えばコンタクトセンターソリューションの「Zoom Contact Center」では、ZoomのAIテクノロジーを活用して適切な回答を導き出したり、過去の問い合わせのサマリーを用意することでコールセンターの対応をスムーズにし、顧客体験を改善できる。また、AI型会話インテリジェンスソリューションである「Zoom Revenue Accelerator」では、ZoomのAIテクノロジーによって、よりよい成果を上げている人の特徴を学び、それをチーム全体がまねることでスキルを伸ばし、成果を高めていくといったことが可能になる。

井村屋はZoom Workplaceでグループシナジー向上

キーノートには、そんな未来の働き方を実践し始めているスペシャルゲストも登場した。

「あずきバー」シリーズなどで知られる食品メーカーの井村屋だ。新中期経営計画「Value Innovation 2026(新価値創造)」では、社内の人材育成に力を入れ、個々がスペシャリストとして成長することで企業変革につなげることを目指している。

1896年創業と100年以上の歴史を持つ井村屋は、コロナ禍以前、Zoomが広く世に知られるようになる前からZoomを活用してきた。そして今、グループ全体で活用できるコミュニケーション基盤としてZoom Workplaceを採用し、オンプレミス環境で運用してきたグループウェアからの刷新を進めている。

井村屋グループ デジタル戦略室 執行役員常務 デジタル戦略室長の岡田孝平氏は、「ばらばらだったコミュニケーションを1つに統合することで、グループ全体でのシナジーをより高めていきたいと考えています」と力強く述べた。さらに、工場内のデジタルサイネージなどを通して従業員のエンゲージメントを高める「Workvivo」も導入して、よりわかりやすいコンテンツを発信し、常にPCを使うわけではない生産現場の従業員とも情報を共有していく計画だとした。

井村屋グループ デジタル戦略室 執行役員常務 デジタル戦略室長 岡田孝平氏

井村屋グループ デジタル戦略室 執行役員常務 デジタル戦略室長 岡田孝平氏

東京大学がZoom Contact Centerを国内初導入

2組目のスペシャルゲストは東京大学の「uteleconプロジェクト」を担当する情報システム本部 副本部長 准教授の玉造潤史氏と、学生スタッフで東京大学大学院 総合文化研究科 修士2年の德永紗英氏だ。

東京大学ではコロナ禍を機にオンライン授業が始まった。この新たな学び方を円滑に進めるにあたって課題となったのが、オンライン授業で学ぶ学生のサポートだ。そこでスタートしたのが、PCやアプリケーションの設定などに困った学生をサポートするuteleconプロジェクト。大学の教職員と学生が一体となって進めているユニークな取り組みだ。

「uteleconプロジェクトは、皆さんにきちんとICTツールを活用してもらうことで、オンラインであっても対面授業と同じ成果を上げていこうという目的で立ち上がりました。たらい回しをしないワンストップのサポートを提供し、問い合わせに対して、的確な答えを出すことが特徴です」(玉造准教授)

このuteleconプロジェクトに採用されたのが、Zoom Contact Centerである。海外ではMLB(Major League Baseball)をはじめ、すでに多くの導入実績があるZoom Contact Centerだが、国内では第1号のユーザーとなったのがuteleconプロジェクトだった。

(右から)東京大学 情報システム本部 副本部長 准教授 玉造潤史氏、東京大学大学院 総合文化研究科 修士2年 德永紗英氏

(左から)東京大学大学院 総合文化研究科 修士2年 德永紗英氏、東京大学 情報システム本部 副本部長 准教授 玉造潤史氏

uteleconプロジェクトではZoom Contact Centerの導入前、チャット、音声、メールという3つの手段によるサポートを、それぞれ別々のシステムを利用して提供していた。

このため、「3つのシステムすべてを見ておく必要があり負荷が高かったうえ、対応記録もバラバラに蓄積されており、過去の事例を参照するのも困難でした」(徳永氏)。問い合わせを各スタッフに自動で割り振る仕組みもなかったため、対応件数に差が生じるという問題も浮上していた。

こうした課題を解決するために導入したのがZoom Contact Centerだった。まずはチャットと音声対応の一元化や、問い合わせの自動振り分け機能を実現。さらに今、Zoom Contact Centerのオープン性を活かし、コネクタを介してチケット管理システムのZendeskとの連携も進めている。これにより、1つの画面からチャットと音声、メールのすべてに対応でき、記録も1つに集約できる。「Zoom Contact Centerの導入によって、一元的なサポートシステムを構築できました」(徳永氏)

導入作業は半年程度でスピーディに完了したという。日本初、なおかつ数十人規模のチームでの導入に不安がないわけではなかったが、ZVC JAPAN(Zoom)のサポートにも支えられて、難なく導入できたという。

uteleconプロジェクトに携わる学生スタッフは、自分の端末から好きな場所で、好きな時間に、完全フルリモートで問い合わせ対応やチームコラボレーションを行っている。徳永氏は「このような新しい働き方を実現できているのは、コミュニケーションを支えるZoomのおかげ」とZoomの理念への共感を述べた。

NECがZoom Phoneを採用、次はAIを「真の力」に

Zoomもそうだが、働き方変革を支えるソリューションを提供する企業は、自らも変革に積極的に取り組み、それで得たノウハウを合わせて顧客企業に提供している。

約11万人の従業員を擁するNECも同様だ。スペシャルセッションには、NEC 執行役 Corporate EVP 兼 CIOの小玉浩氏が登場した。

NEC 執行役 Corporate EVP 兼 CIO 小玉浩氏

NEC 執行役 Corporate EVP 兼 CIO 小玉浩氏

「トランスフォーメーションの中で本当に大事な部分が働き方の変革であり、コミュニケーション変革です」。NECが全社横断で挑むコーポレート・トランスフォーメーションを牽引するチームを、CEOのもとで率いる小玉氏はこのように語り、さらにAIも活用しながら進めている変革の一端を紹介した。

NECでは、人の力を解き放つ「働き方のDX」、経営層から従業員が同じデータを共有し未来志向のアクションに繋げていくデータドリブンな経営を実現する「営業・基幹業務のDX」、ITの力を引き出し、人をより付加価値の高い領域にシフトする「運用のDX」という3つの柱で変革に取り組み、あらゆる領域でのAI活用も見据えているという。

NECは様々な形でZoomとコラボレーションしてきた。11万人の従業員がZoomを利用してコミュニケーションしているほか、AI Companionによる会議の要約も行っている。

さらに「我々は、組織や階層を超えたコミュニケーションを通してビジョンやゴールを共有し、コラボレーションを活性化していくことを目指しています。そのために必要なコミュニケーション変革のプラットフォームを、ZVC JAPAN(Zoom)と一緒になって作り上げてきました。直近の大きなイニシアチブとしては、Zoom Phoneを用いたPBXのクラウド化です」(小玉氏)。

かつてはPBXを事業の大きな柱にしてきたNECが、クラウドベースのZoom Phoneを採用するというのは、大きなチャレンジだ。だが、「テクノロジーでいかに社会価値を作っていくかを考えると、この流れはやはり止められません」と小玉氏は語った。

次のステップは、AIをいかに真の力にしていくかだという。独自生成AI「cotomi」を開発するNECは、社内でも「NEC Generative AI Service」を展開し、「どうすればAIが本当に会社の力になるのか」を追求しつつAIカルチャー醸成を進めている。

この領域でもZVC JAPAN(Zoom)とのコラボレーションに可能性を見い出している。「ロケーションフリーなハイブリッドワークに始まり、いろいろな取り組みを一緒にやってきましたが、いよいよ今後はデータドリブンと生成AIの組み合わせにより、革新的なアイディアの創出と共創をさらに加速していきます」(小玉氏)

NECは社内のDXを加速し、そこで得た知見をお客様や社会のDXに還元している。NECは今年5月、お客様と社会の課題をDXで解決する価値創造モデル「BluStellar」というブランドを発表、展開を開始した。ZVC JAPAN(Zoom)ともコラボレーションしながら、BluStellarを通して価値を提供していきたいとした。

Zoom Experience Day Summerの会場では展示やミニセミナーなども行われ、「未来の働き方」への変革に取り組む多数の来場者でにぎわった

[9月7日まで見逃し配信中!]
Zoom Experience Day Summerオンデマンドはこちら 

<お問い合わせ先>
ZVC JAPAN株式会社(Zoom)
マーケティング部
E-mail:japan-marketing@zoom.us
URL:https://explore.zoom.us/ja/contactsales/

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