IoT向け回線の選び方 コスト、接続形態、セキュリティ…何を基準にする?

近年、DXや業務効率化のためにIoTに取り組む企業が増えている。

IDC Japanが2021年4月に発表した国内IoT市場産業分野別予測では、2020年の国内IoT市場におけるユーザー支出額は6兆3125億円。2020~2025年の年間平均成長率は10.1%で推移し、2025年には10兆1902億円に成長する見込みだ。

IoTの導入・検討の本格化に伴い、IoT向け“回線”の需要も増加している。MVNOでもIoT向け回線は好調だ。MM総研の国内MVNO市場の調査結果(2021年9月末時点の実績)によれば、2022年3月末時点の独自サービス型SIM市場は1255万回線に達する見込み。MNOのサブブランドやオンライン専用プランの進展、楽天によるマイグレーションの影響を受けてスマートフォン用途の回線数は純減するものの、IoT用途は今後も市場拡大が予想されており、2024年3月末にはIoT市場向け回線の比率は53.3%に達する見通しだ(図表1)。

図表1 独自サービス型SIM市場予測

図表1 独自サービス型SIM市場予測

しかしIoT回線を提供する企業は多い。これからIoTに取り組もうという企業は、多様なIoT回線の中からどのように選べばいいのだろうか。

IoT回線を提供する企業は?IoT回線はスマホの回線と同様、MNO(移動体通信事業者)やMVNO(仮想移動体通信事業者)が提供している。

IoT回線へのニーズは多様だ。柔軟な回線メニューを用意するMVNOは多く、MVNOも選択肢に含めることで、IoT回線の選択肢の幅を大きく広げることができる。

各社で提供されているメニュー/プラン、標準機能、オプション、管理画面や連携しているプラットフォーム、フォロー体制などは千差万別。自社のニーズを整理し、何を優先するかを決めて比較検討する必要がある。

通信規格と料金体系IoT向けの回線は、サービスによって従量課金のもの、定額のものがある。

使わない期間に維持費を抑えられるプランを用意しているサービスもある。例えばBIGLOBEモバイルには、SIMカードの納品からデータ通信を行うまでに期間が空く、もしくは特定の時期しかデータ通信を行わないユーザー向けに、月額200円の「0ギガプラン」がある。マイページからプラン変更すると翌月からデータ通信ができるようになる仕組みだ。オプテージが提供する「mineo法人」は「在庫戻し」という機能を備えており、一時的に使わなくなったSIMを月額200円で維持できる。

規模の大きいIoTプロジェクトでは、SIMが手元に届いてから展開するまでに時間がかかり、通信を開始するまで期間が空くことも多い。mineo法人はそんなケースに対応できるよう、最初にデータを流すまで、最大180日間月額課金されない「アクティベーション猶予」機能を備える。ソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォーム(以下、SNCスマートプラットフォーム)の「MEEQ」でも、コンソールからアクティベートするまで1カ月は料金の発生を猶予してくれる。

また、どの通信規格が使えるかも確認しておいた方がいいだろう。LTE/3Gはほとんどのサービスが提供しているが、LTE-MやELTRESなどのLPWAや、5Gに対応したSIMを提供しているところもある。

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