
――日本初の電波オークション(価額競争)の実施に向けて、情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波有効利用委員会に「価額競争の実施方法に関する検討作業班」が設置され、議論が行われてきました。
佐藤 検討作業班は今年6月に設置され、計4回にわたって有識者の構成員の方々と議論を重ねてきました。その取りまとめ案は10月8日の電波有効利用委員会で承認され、10月10日に報道発表し、その翌日から1カ月間、パブリックコメントを実施したところです。
このパブコメを踏まえて、電波有効利用委員会、さらには情報通信審議会でオーソライズしていき、最終的な取りまとめを行った後、価額競争の具体的なルールとなる実施指針を策定・公表する予定です。
実施指針については、こちらもパブコメを経た上で今年度内を目途に整備する予定であり、その後、価額競争の実施フェーズに入っていきます。価額競争の実施指針自体は、電波監理審議会に諮問し、ご議論いただきます。
――そうしますと、日本初の電波オークションの実施はいつの見込みですか。
佐藤 総務省が毎年策定・公表している「周波数再編アクションプラン(案)」によれば、今年度内を目途に価額競争の実施指針を整備し、その後、速やかに価額競争によって5Gに割り当てることを目指すとしています。年度内に価額競争のルールをしっかりと固め、その後早期に価額競争を実施することを念頭に置いています。
――今回は26GHz帯が対象ですが、元々は40GHz帯も候補でした。
佐藤 電波法の改正により、価額競争に関する制度が創設されたことなどを踏まえて、今年5月に26GHz帯と40GHz帯の利用意向調査を行ったところ、計9者から回答をいただき、26GHz帯については一定の利用意向が示されました。そのため、まずは26GHz帯を価額競争によって割り当てることを目指して検討を進めています。
具体的には、26GHz帯のうち、無線局がない帯域や、既存の免許人はいるものの無線局数が比較的少なく、共用可能性が高い帯域を対象としました(図表1)。共用の技術的検討は別途行っており、既存無線局がなく、すぐに割り当て可能な帯域は「白」、既存の免許人はいるが無線局の数が比較的少なく、共用可能性が高い帯域は「薄いオレンジ」といったように、既存無線局との共用可能性によって色分けして示しています。
図表1 26GHz帯の周波数割当の候補

――注目点の1つは「全国枠」と「地域枠」をそれぞれ1つずつ設けることです。
佐藤 利用意向調査では、「全国各地の様々なニーズに応じた柔軟な基地局展開」という全国展開を念頭に置いた意見と、「地域のエリアを選択的に整備」という地域枠を意識した意見が寄せられました。この両方のニーズに対応するため、全国を割当区域とする全国枠と、地域を割当区域とする地域枠を1枠ずつ設けることとしました。
さらに新規事業者・地域事業者の参入を促進するための措置として、地域枠はいわゆる全国キャリアは応札できない、新規事業者・地域事業者の専用枠としています。
――全国枠と地域枠が1枠ずつの計2枠ですが、周波数の候補は3つあります。全国枠に関しては、400MHz幅を希望する事業者が多いことから推測できますが、地域枠はどちらになるのでしょうか。
佐藤 検討中であり、価額競争の実施指針でお示しする予定です。
――地域枠は、市区町村単位での割当になるのでしょうか。
佐藤 検討作業班の取りまとめ案では、「地域枠の割当区域は、地方自治体を基本的な単位としつつ、更に検討を進める」としています。地域枠の割当区域も実施指針でお示しする予定ですが、スポット的な利用に適しているといったミリ波である26GHz帯の技術的特性なども考慮しながら検討を進めていきます。