
NTTと沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2026年6月11日、IoTを活用した水蒸気観測のターゲットを拡大すると発表した。これまで台風を対象としてきたが、線状降水帯も対象とするため、東シナ海での観測を開始した。
これは、NTT、OIST、気象庁 気象研究所の3者で取り組む4カ年計画の共同研究の一環だ。1年目の2025年度は、自律型海上観測機器やブイを用いて、複数の台風に接近して大気海洋観測を実施。気象衛星によるリモートセンシングでは捉えにくい変化をリアルタイムに収集することにより、台風強度予測の高度化などにつながる可能性を確認したという。
2年目の2026年度は、観測エリアを東シナ海に広げ、九州地方に流れ込む水蒸気の変化を捉えることにより、線状降水帯の発生・発達過程の解明や予測精度向上に向けた研究の加速も目指す。
線状降水帯は、発達した雨雲が同じ場所に長時間停滞して大雨を降らせる現象。特に九州での発生には、東シナ海から流入する暖かく湿った空気が深く関わっているが、海上での詳細な観測データがこれまで不足していたという。
観測に用いる自律型海上観測機器は、波の力を推進力に変えて自律航行でき、イリジウム衛星通信やLTE通信などの機能を備える。将来的にはHAPSとの連携も検討している。

NTTは単独で、LPWAと組み合わせた低コストな観測技術の実証も進めていく。気球からセンサーを投下して海上の水蒸気や気圧を観測。LPWAで観測データを送信する。
NTT 宇宙環境エネルギー研究所 レジリエント環境適応研究プロジェクト グループリーダーの松原浩史氏は、「台風や線状降水帯のメカニズム解明に貢献していくと共に、予測精度の向上につなげ、人の安全・安心を守れるよう、社会貢献していきたい」と述べた。
