
――三井不動産グループでは、どのように「通信事業」を位置づけていますか。
田口 昨年4月、三井不動産グループ内にイノベーション推進本部を新設しました。この本部では、スマートシティや宇宙ビジネス、ライフサイエンス領域、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)としてのスタートアップ支援など、不動産以外の新規事業を検討・展開しています。
通信も都市を構成する重要なインフラの1つと捉え、事業を推進しております。その他の事業本部でも、ローカル5Gを活用したスマートシティの実証などを行っています。
――オフィスや商業施設でローカル5Gを使いたいというニーズは増えているのでしょうか。
田口 昨今、大規模施設では、ローカル5Gを活用して効率的に建物を管理するという検証が実施されています。本格導入はこれからですが、施設内の設備や人の動きをリアルタイムにモニタリングしたり、ロボットを活用して荷物運搬や警備を自動化するといったユースケースが検討されています。
――今年7月には、ネットワーク新会社「三井不動産ネットワークイノベーション」を設立されました。その狙いについて教えてください。
田口 日本では、人口減少に加え高齢化が進み、今まで人の手で担ってきた業務をロボットやドローンで自動化する動きが広がっています。AIを搭載したロボットが本格普及すれば、通信トラフィックはさらに増大し、これを支えるデジタルインフラの整備がより一層重要になります。
また、こうした社会課題は、通信キャリアに丸投げして解決するものではなく、我々のようなアセットホルダー(施設保有管理者)やデベロッパーが連携することで、より大きな相乗効果が生まれるはずです。
通信キャリアと連携しながら、こうした社会課題の解決にスピード感を持って取り組む必要があると考え、まずは不動産との親和性が高いインフラシェアリング(設備共用)事業から着手しようと、新会社を設立しました。
図表 インフラシェアリングのイメージ
