HD-PLCが名称変更 パナソニックNessumが狙うIoTの隙間

今年9月、パナソニック ホールディングスは電力線通信技術のブランド名を「HD-PLC」から「Nessum(ネッサム)」に改称すると発表した。

電力線を用いて電力とデータを一緒に伝送可能にするHD-PLCは、家庭内の部屋間での映像伝送を目的として2006年に誕生。専用アダプターを電源コンセントに差し込むだけで、どこでも通信できる簡便さを特徴としていた。ただ、当初は一部の環境でつながらない、所望の速度が得られないといった問題があったうえ、Wi-Fiの普及時期と重なったことで思うように浸透せず、家庭用からは撤退した。

その後、電力線だけでなく、同軸ケーブルやフラットケーブル、電話線などの既設線でも利用可能となったほか、最大250Mbpsまで高速化(同軸ケーブルの場合、最大1Gbps)。さらにマルチホップにより通信距離が200mから数kmへと大幅に伸びたことで、工場などBtoBにおける通信インフラとして導入が進んできた。対応デバイスの累計出荷台数は、450万台超となっている。

今年8月には、IEEE標準規格協会の次世代通信規格「IEEE P1901c」の作業部会において、HD-PLCのコア技術であるWavelet OFDM方式がドラフト1.0に承認された。

IEEE P1901cは、Wavelet OFDM方式を様々な通信媒体(Any Media)で活用できるようにすることを目的としている。実際、HD-PLCは先述のようにメタル線などにも対応しているほか、2021年にはWavelet OFDM方式を無線に応用した近距離無線通信技術「PaWalet Link」も開発された。「電力線をイメージする言葉と実態がそぐわず、お客様から『分かりづらい』との指摘が多くあった。Any MediaというIEEE P1901cの特性に合わせるため、ドラフト1.0の承認を機に名称を変更した」とパナソニック ホールディングス 事業開発室 Nessumプロジェクト マーケティングリーダーの松尾浩太郎氏は説明する。

パナソニック ホールディングス 事業開発室 Nessumプロジェクト マーケティングリーダー 松尾浩太郎氏

パナソニック ホールディングス 事業開発室 Nessumプロジェクト マーケティングリーダー 松尾浩太郎氏
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