世界中でデータセンターの需要が急拡大している。NTTグループでグローバルデータセンター事業を展開するNTTリミテッド・ジャパンでサービス部 データセンターサービス部門長を務める鈴木康雄氏によれば、「今後3年間で、コロケーション市場規模は33%も拡大する」見込みだ。2021年時点の約520億米ドルから、2024年には690億米ドルまで拡大すると想定されている。
NTTリミテッド(NTT Ltd.)は2019年に、NTTコミュニケーションズのブローバルデータセンター事業やDimension Data、NTT Securityを含む28社の機能を統合して設立された。現在、20以上の国・地域でデータセンターサービスを提供。サーバールームの面積は60万㎡を超え、IDC MarketScapeレポートにおける「世界規模のデータセンターコロケーションおよび相互接続サービス 2021年度ベンダー評価」では、グローバルリーダーのうちの1社に選ばれている。
その同社が2021年8月31日にオンライン記者説明会を開き、データセンター事業のさらなる拡大を目指す方針を打ち出した。「投資額は2021年度に約2000億円、同年度の収益額は約1900億円」(鈴木氏)を計画する。
世界各地でデータセンターを新設
2021年度と2022年度で、計13の新規データセンター開設を予定している。既存拠点の増床も含めて、面積ベースで現状から20%拡大する。2020年度に実施した施策も含め、地域ごとに次のような拡大方針を発表した。
NTTリミテッド・ジャパン サービス部 データセンターサービス部門長の鈴木康雄氏
北米では、2020年から2021年にかけて、バージニア州アッシュバーンにおけるデータセンター拡張に加え、オレゴン州のヒルズボロ、カリフォルニア州のサンタクララ、イリノイ州のシカゴに3つのデータセンターを新設。NTTの日米間海底ケーブル「PC-1」を活用して、ヒルズボロと東京間の太平洋横断ネットワークを提供する。
また、アリゾナ州フェニックスにおいても、2022年初頭にデータセンターを新設する予定だ。フェニックスデータセンターはIT電力容量36メガワットを供給するデータセンターを7棟建設し、合計でIT電力容量240メガワットを供給する予定という。
鈴木氏が「エリア別で最も市場規模が大きく、成長率も高い」としたアジア太平洋地域(APAC)では、2021年内にインドネシア・ジャカルタの中心地から約30km離れたブカシにIT電力容量15メガワットを供給するジャカルタ3データセンターを新設する。また、マレーシアのサイバージャヤ 5データセンターは、IT電力容量6.8メガワットを供給。今後、同キャンパス内にさらに同規模の拡大を予定している。
日本については2020年9月に、東京にIT電力容量21メガワットを供給する東京第11データセンターを建設した。今後も旺盛な需要に応えるため、バンコク、大阪、ベトナム南部へのデータセンター拡張を検討中だという。