「地域の特色ある文化といった多様性と効率性を両立させる分散型ネットワーク社会を目指していきたい」――。
NTT東日本は2022年6月28日、新社長の就任会見を開催。6月17日付で社長に就任した澁谷直樹氏はこう述べた。
首都圏などへの一極集中型とは別の選択肢、地域が多様な価値を創造する未来社会の実現に貢献する「ソーシャルイノベーション企業」への転換を推し進めるという。
NTT東日本 代表取締役社長 社長執行役員の澁谷直樹氏
NTT東日本は近年、地域の課題解決に貢献するため、農業、芸術、eスポーツなどの新会社も立ち上げながら、通信事業者の枠を超えるソリューションの提供に力を入れてきた。
ただ、「今までは課題解決が中心だった」と澁谷氏。人手不足等の課題解決にあたるだけでは「産業がないなどの根本的な課題は残り続ける」。そこで今後は、地域の価値創造、持続可能性の実現へ貢献する「ソーシャルイノベーション型」の取り組みを強化する。
分散型ネットワーク社会のイメージ
その上でのポイントは大きく2つあるという。
1つは「共感型DXコンサルティング」だ。
「従来型の答えありきのアプローチではない。地域の価値創造に取り組もうとすると、自動運転やIoTといったアプローチでは限界がある。より上流のお困り事、つまり『どういう街づくり、どういう村づくりをするのか』から入らせていただく必要がある。地域に飛び込み、心と心で通じ合いながら、地域の価値を創造していきたい。やりたいのは心の経営だ」
もう1つは「フィールド実践型エンジニアリング」だ。「地域に数万人規模のデジタル系人材がいるのは我々だけ」と述べたうえで、次世代型農業や再エネ、コンパクトシティなどに一元的に対応できるエンジニアリング力をさらに強化していくとした。
経営数値の面では、これらソリューションイノベーション型の売上を伸ばし、「回線以外のビジネスを半分以上にするのが大きな目標」と語った。