NTTコムウェア、レッドハット次世代基盤採用の開発用クラウド「DevaaS Anthem」提供開始

NTTコムウェアは2025年5月20日、仮想化基盤のOpenStackとコンテナ基盤のOpenShiftを統合する「Red Hat OpenStack Services on OpenShift」を世界に先駆けて商用導入した開発専用クラウドサービス「DevaaS Anthem(ディバース アンセム)」の提供を開始した。

Red Hat OpenStack Services on OpenShiftは、仮想マシンとクラウドネイティブアプリケーションを単一の基盤で運用でき、システム開発における俊敏性と安定性の両立を可能にする技術。同技術の商用サービスとしての採用は、グローバルでも先進的な事例の1つとされる。

DevaaSとは「Development as a Service」の略称であり、「DevaaS」シリーズは同社が独自に開発・展開する内部開発者向けプラットフォーム(IDP:Internal Developer Platform)である。オープンソースの技術を活用したソブリンクラウド型の開発環境として、これまでNTTグループを中心に展開されており、2025年3月末時点で仮想マシン(VM)2万4000台の運用実績を持つ。

開発専用クラウドサービス「DevaaS Anthem」の価値を示す概念図。中心に「Digital-Tech」と書かれたデータセンターが描かれ、コスト・スピード・安定の3要素が循環する。周囲には「ITシステム開発におけるROI向上」「開発高度化・高速化」「長期安定した環境の提供」といった効果が矢印付きで配置され、開発効率と投資対効果の向上が強調されている。

開発専用クラウドサービス「DevaaS Anthem」の提供価値

今回提供を開始したDevaaS Anthemは、システム開発現場の多様化・高速化に対応し、運用効率とセキュリティを高める新アーキテクチャを採用した。コンテナベースのコントロールプレーンにより、システム更新時の影響を局所化し、ダウンタイムを最小限に抑えられるという。これにより、従来数時間を要していたデプロイ作業が数分に短縮され、より柔軟な開発環境を実現するとしている。

「Red Hat OpenStack Platform(バージョン16)」と「Red Hat OpenStack Services on OpenShift」のアーキテクチャ比較図。 左側は従来型のOpenStack構成で、Undercloud上にControllerやBaremetal Computeを配置し、その上にOvercloudとしてVMやStorageを構成。 右側はOpenShift上にOpenStackコンポーネントをPodとして実装し、コントロールプレーンがコンテナ化された構成。両者の違いとして、右図ではコントロールプレーンの柔軟性と拡張性が向上している点が示されている。

「Red Hat OpenStack Platform(バージョン16)」(左)と「Red Hat OpenStack Services on OpenShift」のアーキテクチャ比較図。後者ではController内のPod(機能)単位で更新が可能となり、影響範囲を限定できる

加えて、最新OSに求められるセキュアブートやTPM(Trusted Platform Module)といったハードウェア機能への仮想対応、ネットワークワークロードの平準化、通信テナンシーや暗号化によるセキュリティ強化など、多岐にわたる機能強化を図った。開発者は複雑なインフラ構築に煩わされることなく、セルフサービスで統一された開発環境を構築できるということだ。

将来的には、AI支援ツールやゼロトラストセキュリティ関連技術との連携を強化し、信頼性と柔軟性を備えた次世代型IDPとしての進化を目指す。

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