ソフトバンクは2025年5月8日、2024年度決算に関する説明会を開催。あわせて、AI関連の取り組みの進捗状況についても発表した。
代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏はまず、AIデータセンター向け次世代メモリの開発に着手すると発表。「AIデータセンターでは、GPUに大量のデータを転送するための高性能メモリが必要だが、現状のメモリは消費電力が大きく、処理能力にも限界がある」と指摘。高い処理能力を持つ省電力なメモリを開発することで、こうした課題を解決していきたいとした。
また、ソフトバンクの生成AI子会社SB Intuitionsは、700億パラメーターの商用モデル「Sarashina mini」を開発したと発表しているが、今年6月に社内トライアルを行い、同年夏~秋頃に商用提供を開始する予定だという。
2025年度以降には、このSarashina miniをさらに大規模化・高性能化したモデルも展開予定で、SarashinaをベースにしたソブリンAIとソブリンクラウドをパッケージ化したソリューションも、2026年以降に順次提供していくとした。
同説明会では、Sarashinaに関する回答生成デモも行われた。「日本の道路交通法において、サイドカー・特定二輪車・三輪車(トライク)はそれぞれヘルメットが必要か?」との問いに対して、GPT-4oやGPT-4 miniは一部誤った解釈を示した一方、Sarashinaは日本の法制度を正しく理解して回答を生成していた。
「引っ越しをした。近所に挨拶する際に注意することは?」という質問についても、Sarashinaは日本特有の慣習等を把握したうえで回答できていた。
また、ソフトバンクグループとOpenAIは今年2月、企業用AI「Cristal intelligence」を日本企業へ独占販売する合弁会社「SB OpenAI Japan」を設立することで合意し、ソフトバンクグループはCristal intelligenceの第1号ユーザーとなる。「従来のAIは業務ごとの『個別最適』だったが、AI同士が連携する『全体最適』によって企業経営を変革していく」と宮川氏は意気込んだ。