NTTドコモとJR東海は2019年9月30日、東海道新幹線車内における、第5世代移動通信方式(5G)による無線通信実験を実施したと発表した。
実験期間は2019年8月24日から9月7日まで、静岡県の三島駅から新富士駅間で実施。28GHz帯を使用した。
ドコモによれば、高速で走行する鉄道車内との5G無線通信を実現するためには、実際の走行環境における基地局の配置と移動端末への追従性、乗客の実利用シーンにおける周囲の遮へい物の影響など、技術的に検証すべき事項が多くあったという。これら技術的検証のため、東海道新幹線沿線に仮設した実験用5G基地局と、N700S確認試験車内に搭載した実験用5G移動端末との間の5G無線通信実験を行い、高速走行中の実験に成功した。
実験システムの構成
実験では、(1)5G無線データ伝送実験と、(2)5G無線映像伝送実験の2つを実施した。
(1)に関しては、地上基地局と移動端末の双方が持つ機能(ビームフォーミング機能、ビーム追従機能)を駆使した超高速データ伝送と、移動端末が接続する地上基地局(3箇所)を順次切り替える連続ハンドオーバーを検証。時速283kmで走行する列車との間で、最大1.0Gbpsのデータ伝送と連続ハンドオーナーに成功した。
(2)に関しては、地上基地局から移動端末に対する8K映像コンテンツの高速ダウンロード配信と、試験車内に設置した4Kカメラで撮影した車窓映像を、移動端末から地上基地局へライブ中継する2つの実験を行い、ともに成功した。
なお、時速200km以上で走行する高速鉄道車内と地上との間の5G無線通信実験の成功は世界初という。