5Gの次の通信システム「6G」が実用化される2030年代には、モバイル通信の位置付けはどう変わっているのか。NTTドコモ ネットワークイノベーション研究所で無線技術を担当する外園悠貴氏は「5Gで期待されてきたユースケースや課題解決策が、2030年代はさらなる発展形として普及することが求められる」と話す。
5Gには、高速大容量通信や低遅延通信といった特徴を活かして産業界のDXを推進することが期待されている。機械の遠隔操縦やクルマの自動運転をはじめとする自動化・省力化ソリューションがその好例だ。
NTTドコモ ネットワークイノベーション研究所 無線技術 担当の外園悠貴氏
また、現実世界の情報をセンサーネットワークで収集し、サイバー空間で分析や予測シミュレーションを行った結果をフィジカル空間にフィードバックして効率化や最適化に用いるサイバーフィジカルシステム(CPS)においても、この2つの世界をつなげる役割を5Gが担う。
こうしたユースケースを通して5G、そして2020年代に進化を遂げる5G evolutionは、少子高齢化や労働力不足といった社会課題の解決、地方創生にも貢献することができるだろう。
そして6Gの時代にはデバイスの進化なども相まって、そうしたユースケースがさらに発展する。5Gの性能を凌ぐ超高速・大容量通信や超低遅延通信によって、「例えば、どこにいても超リアルな体験で人や情報、モノにアクセスできたり、働く時間・場所の制約が完全に撤廃される世界を目指している」と外園氏。それにより、地方と都市部の社会的・文化的格差を減少させることも可能になると展望する。