IoTの普及によって近い将来、我々の周りには無数のセンサーがばらまかれると予想されている。その場合、課題となるのがセンサーや電池の交換と回収だ。そのまま放置されれば、土壌や生物などへ大きな影響を及ぼすことが懸念される。
NTT R&Dフォーラム2018で展示された土に還る電池
これを解決する手段としてNTTが開発したのが、無害でレアメタルを使用しない低環境負荷な電池「土に還る電池」だ。電池部材を肥料成分と生物由来材料で構成することで、使い終わった後に放置されても、自然に影響を与えないという。
現時点での性能は、測定電流1.9mA/cm2において電池電圧1.1Vを実現。NTTでは、数個を直列につなぎ電圧を高めることで市販のBLE温度センサーモジュールが動作することを確認している。
NTTは「NTT R&Dフォーラム2018」でこの電池を披露。電池が植物に与える影響を確認するため、肥料検定法に基づく植害試験の結果なども紹介した。従来型の電池と比較して、植物の成長に影響を与えないことを確認できたという。
植害試験の結果
今後は、電池の性能向上を進めるとともに、これを活用したばら撒き型センサーの商用化を進める。