自由空間光通信「CENTAURI」の実力 光ファイバーと電波に次ぐ“第3の選択肢”に

(左から)NTT アドバンステクノロジ(NTT-AT) マテリアル&ナノテクノロジ・ビジネス本部 光ビジネス部門 担当課長 畠山豊氏、同社 同本部 同部門 主幹技師 統括マネージャ 小松貴幸氏

(左から)NTT アドバンステクノロジ(NTT-AT) マテリアル&ナノテクノロジ・ビジネス本部 光ビジネス部門 担当課長 畠山豊氏、同社 同本部 同部門 主幹技師 統括マネージャ 小松貴幸氏

社会インフラとして必要不可欠な光ファイバーだが、一部の新興国では整備が十分に進んでいない地域も少なくない。光ファイバーの普及率が高い日本でも、採算性などの問題から約10万世帯で未整備のまま(総務省調べ)。河川をまたぐ地域や景観保全地区、既設管路が埋設済みで掘り起こしが難しい場所など、物理的な制約により光ファイバーの敷設が困難なエリアがあるのも実情だ。

こうした課題を解決する手段の1つとして注目されているのが、FSO(Free Space Optical communication:自由空間光通信)である。大気中などの空間を伝送路として、レーザー光でデータを送る光通信技術だ。

直進性の高いレーザー光を使用するため、光信号が拡散しにくく、秘匿性を担保しながら数km規模の長距離通信が可能になる。光ファイバーが敷設不要で、初期投資を抑えながら安定した通信環境を迅速に構築できると期待されている。電波のように干渉が起きにくく、無線局免許の取得が不要な点もメリットだ。

CENTAURIの特長は?

すでに商用化されているFSOソリューションの1つが、シンガポールの通信機器ベンダーであるTranscelestial(トランスセレスティアル)社が開発する「CENTAURI」(センタウリ)だ。国内ではNTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)がパートナー契約を結んでいる。

CENTAURIの外観

CENTAURIの外観

CENTAURIは「10Gbpsモデル」と「25Gbpsモデル」の2種類を用意しており、前者は最大3km、後者は最大1kmの通信が可能。価格は350万円~(税抜)で、「光ファイバーを新たに敷設する場合と比べると、CENTAURIの方がコストを抑えられる」とNTT-AT マテリアル&ナノテクノロジ・ビジネス本部 光ビジネス部門 担当課長の畠山豊氏は説明する。

FSOは指向性の高いレーザー光の位置合わせが難しいという弱点があるが、CENTAURIはこの課題も克服している。送受信機に内蔵されたカメラの映像をもとに大まかな調整を人手で行い、その後レーザーの向きや出力は自動制御される。「映像が表示されたWebUIを確認しながら位置合わせを調整できる。現地の施工業者などに依頼すれば1時間程度で設置が完了する」(畠山氏)。

また、FSOは雨や霧などの大気現象の影響を受けやすく、通信距離や速度が低下するおそれもあるが、CENTAURIにはアダプティブパワーコントロール(APC)と呼ばれる機能が実装されている。これは、「現在どの程度光を受信できているか」を監視し、その情報をもとにレーザーの出力を自動調整する。天候悪化で受信パワーが弱まった場合には、送信出力を引き上げることでスループットを確保し、通信品質を維持できるという。

ただし、導入にあたってはいくつか留意点もある。CENTAURIには、レーザー光の安全性を確保するため、送受信機の間に遮蔽物が入った場合に自動でレーザーパワーを低減する「オートパワーリダクション(APR)機能」が実装されている。ただし、出力の低減により通信が途絶してしまう可能性があるため、設置にあたってはLOS(見通し線)を確保できる環境が前提となる。

また、太陽光で地表面付近が温まると大気のゆらぎが生じ、レーザー光の伝搬に影響が出るため、地表面より5m以上離れた位置へ機器を設置することが推奨される。

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