ZETAの現状と次の一手は? 新興LPWAの推進団体が初のオンライン事例発表会

LPWA規格「ZETA」の今を紹介するオンラインイベント「ZETA最新事例大集合!オンライン発表会」が、4月22日に開催された。

発表会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ZETAアライアンスが3月に予定していたイベント「ZETA Alliance DAY」に代えて実施されたもので、Zoomを介して361名が参加した。今回の発表会では9つの講演が行われ(図表)、ZETAの様々な事例が数多く紹介された。参加者からは「大きな反響があった」(ZETAアライアンス)という。

図表 「ZETA最新事例大集合!オンライン発表会」の講演テーマ

図表 「ZETA最新事例大集合!オンライン発表会」の講演テーマ

商用サービスでの活用始まる日本市場におけるZETAの最近のトピックとしては、まずZETAを活用した商用サービスが登場したことが挙げられる。

NTTドコモが昨年11月に提供開始した農業ICTソリューション「畑アシスト」がその1つだ。NTTドコモの大関優氏は、畑アシストを「生産段階での自動化・省力化と同時に、サプライチェーン全体を考え、消費者のニーズに応じた生産を可能にする次世代型農業ICTソリューション」と説明。そのうえで「新しい農業ではセンサーが多用されるケースが少なくない。中継器で離れた場所のセンサーデータも含めて効率的に集約できるZETAの活用はお客様から喜ばれている」と語った。

「オンライン発表会」でのNTTドコモの講演シーン

「オンライン発表会」でのNTTドコモの講演シーン。中継器によるエリア拡大が、農業ICTソリューションでのZETAの利点になるという



凸版印刷グループの商社、トッパン・コスモの田島義教氏は、同社が5月に発売するZETAを活用したアラート映像発報システム「ZETA Smart Sensor&Video」を紹介した。ZETAによるセンサーシステムと監視カメラを連動させ、異常があれば、サーバーに蓄積されている映像データを拾い上げてチェックできる製品だ。「上海のAdvance Systems社と開発した。中国で展開している製品をブラッシュアップして日本で展開する」という。

ZETAを用いてサービスやシステムを構築するための道具立てもどんどん整ってきているようだ。

NECネッツエスアイの川﨑孝史氏は、3月に提供開始した「Symphonict ZETA閉域プラットフォーム」を解説した。同社の通信用基盤とLTEの閉域ネットワークを組み合わせ、ZETAサーバーの機能をインターネットを介さないセキュアな閉域ネットワークで提供する。「様々な会社と協創・連携し、ZETAのビジネス機会を創出していきたい」と川﨑氏は意欲を見せた。

トレンドマイクロの山府木隆雄氏は、テクサーとアイティアクセスと共同開発した「セキュリティ機能標準搭載ZETAサービス」を紹介した。トレンドマイクロの「Trend Micro IoT Security」を実装したZETAアクセスポイントを、アイティアクセスがZETAサーバを含めたマネージドサービスとして提供するもので、7月から販売する「セキュリティが標準搭載されることで、ネットワークの構築とセキュリティ対策が同時に行える。運用にも手間がかからない」と山府木氏はその利点を語った。

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