NTTへの規制を一部緩和する改正NTT法が2024年4月17日、参院本会議で可決、成立した。
国際競争力を高めることなどを目的に、NTTの研究開発成果の開示義務が撤廃されるほか、これまで禁じされていた外国人の役員就任は、取締役の1/3未満まで認められるようになる。また、「日本電信電話」などグループ3社の正式社名の変更も可能になる。
NTTは、改正NTT法の成立を受けて「グローバルなパートナーの皆さまと機動的に連携しながら、引き続き研究開発に積極的に取り組んでいく」とコメント。外国人役員規制が一部緩和されたことについては、「当社の機動的な経営に資すると考えるが、当該規制については、外資規制と同様、我が国の経済安全保障の観点から、当社だけでなく、主要通信事業者全体を対象として議論していくことが必要」との考えを示した。
KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルは改正NTT法への見解を連名で発表。改正NTT法の付則で「日本電信電話株式会社等に関する法律の廃止を含め」検討することおよび「令和7年に開会される国会の常会を目途」と時限を設ける旨が規定されたことに対し、「今後の議論に先立ち、あらかじめ法制度のあり方を方向づけるとともに拙速な議論を招きかねない」と強い懸念を示した。
一方、今後のNTT法のあり方の検討にあたり、「ユニバーサルサービスの確保、公正な競争の促進及び電気通信事業に係る安全保障の確保等の観点から慎重に検討を行うこと」「国民生活への影響も大きいものであることから、広く意見を聴取し、国民の理解が得られるよう検討の過程及びその結果について十分に説明を行うこと」などを求める付帯決議がなされたことは、「国益・国民生活を保護する観点から非常に意義が大きい」と評価した。
3社は、引き続きNTT法の「廃止」には反対するとともに、NTT法のあり方について付帯決議に基づき、より慎重な政策議論が行われることをあらためて強く要望している。