「日本のデータセンター市場はAPACで最も成長しており、その成長率はグローバル市場を上回る。中でも急成長しているのが関西圏だ」
グローバル市場で躍進を続けるNTTのデータセンター事業について2022年9月29日に記者説明会を開催したNTTグローバルデータセンター 代表取締役社長の鈴木康雄氏は、現在の市場動向についてそう述べた。
クラウド需要の増加を背景に、2019年から2026年のデータセンター市場の年平均成長率(CAGR)は首都圏で9.2%、関西圏は15.7%と予測されている(Structure Research調べ)。日本全体では、グローバルの年平均成長率11.5%をしのぐ見込みだ。
増大するニーズに応えるため、NTTは「新たな需要の集積地として、首都圏ではつくば、関西圏では京阪奈(京都・大阪・奈良の三府県にまたがる地域)を検討している」(鈴木氏)という。特に、関西圏は首都圏のバックアップ拠点としての需要も旺盛であり、NTTは京阪奈エリアに国内最大級のデータセンターを新設する。
同エリアの関西文化学術研究都市(愛称:けいはんな学研都市)にNTTの研究施設があり、その敷地の一角に約400億円を投じて建設。2025年下半期の竣工を予定する。
今年度に建設を始める「京阪奈データセンター(仮称)」は地上4階建て免震構造で、IT電力容量は合計30MW(当初6MWから順次拡大)、サーバー室面積は1万900平方メートル、4800ラック相当となる。
京阪奈エリアは地盤が固く、海抜94mの平地で付近に大きな河川がないため災害リスクが低い。かつ、大阪市、京都市、奈良市のいずれの中心部からも車で1時間以内にアクセス可能なことから「BCPにも最適な立地」だ。省エネ型設備の導入と再生可能エネルギーの活用も進める。
加えて、「ユニークな取り組み」として鈴木氏が挙げたのが、NTTの次世代ネットワーク構想「IOWN」との連携だ(上図表)。IOWN構想の推進団体である「IOWN Global Forumと連携して、IOWNのテストベッド構築も検討している」。同敷地内にあるNTTの研究施設で開発するIOWN関連技術のPoCを、京阪奈データセンターで実施することで、2025年度以降に計画されているIOWNの本格展開につなげていきたい考えだ。