「クラウドだけでもエッジだけでもない。両者がインテリジェントになり補完し合わなければならない」
日本マイクロソフトの業務執行役員でコンシューマ&デバイス事業本部 デバイスパートナー 営業統括本部 IoTデバイス本部の本部長を務める菖蒲谷雄氏は、IoTの将来像についてそう話す。同氏も、IoTのユースケースにおいて重要視するのは、クラウドとエッジの連携による機械学習の活用だ。この6月末に国内で一般利用が始まったAzure IoT Edgeによって、その準備が整った。
Azure IoT Edgeとは「Azure上で作る機械学習のモデルをエッジデバイスに組み込めるようにする仕組み」(菖蒲谷氏)だ。エッジで実行した推論の結果をフィードバックし、クラウドで学習モデルを更新して精度を高めていくサイクルを実現する。
Azure IoT Edge認定デバイスが続々登場マイクロソフトは従来から、産業用PCやゲートウェイ機器等にAzureとの接続機能を組み込むためのSDK(ソフトウェア開発キット)を提供しており、パートナーであるメーカーがこれを使ってAzure対応IoTデバイスを提供してきた。その数は優に1000を超えるが、今後は、Azureの機能をエッジに拡張するAzure IoT Edgeの対応デバイスも増えていくはずだ。
例えば、クラウディアンはGPU搭載のNVIDIA Jetson TX2とLTE/Wi-Fi通信モジュールを内蔵した防水・防塵・落雷対策済のエッジコンピューティング装置「CLOUDIAN AI BOX」を開発した。ぷらっとホームも、IoT Edgeに対応したIoTゲートウェイ製品「OpenBlocks IoT VX2」(以下、VX2)をリリースしている。
このVX2は、静岡大学における研究ですでに活用されている。製造機械(切削加工)の稼働状況を歪センサーから得られるデータで解析するというもので、クラウドで解析するのに比べて大幅に遅延時間を短縮し、リアルタイム性を高めることができたという。
また、IoTデバイス自体にAzure IoT Edgeを組み込んで“スマート化”させる取り組みも出てきている。
クアルコムはIoTデバイス上で機械学習の推論を実行するAIデベロッパー・キットを発表。これを使い、Azureと連携して映像解析を行う“スマートカメラ”の開発が始まっている。商用ドローン最大手のDJIも先ごろ、自社製品への採用を発表した。