NTT東が畜産・酪農分野の新会社、「バイオガスプラントを月額モデルで」

新会社名は「Biostock」――。

ビオストックの社長に就任する予定であるNTT東日本 ビジネス開発本部 第二部門 ビジネス企画担当課長の熊谷智孝氏はその由来について、「バイオ」と、地域に資源や価値を蓄えるという意味の「ストック」を組み合わせたものと説明した。


ビオストックの社長に就任するNTT東日本の熊谷智孝氏

この「ストック」が、新会社のビジネスモデルの鍵となる。

原発ならぬ“糞発”でエネルギーの地産地消を
共同出資するバイオマスリサーチは長年、畜産・酪農農家に対するバイオガスプラントの導入支援を手掛けてきた。バイオガスプラントとは乳牛や豚などの糞尿を処理する施設だ。人手により行われてきた糞尿処理を大幅に省力化あるいは自動化することができ、畜産・酪農農家の悩みの種である糞尿処理の省力化、そして悪臭や土壌・水質悪化といった周辺被害の軽減に役立つ。

さらに、糞尿の処理過程において「2つの有益な副産物が生まれる」(熊谷氏)。消化液と呼ばれる有機肥料が1つ。もう1つが、バイオ燃料の一種であるバイオガスや余剰熱といった再生可能エネルギーだ。

有機肥料は近隣の牧草地で活用できる。育った牧草で飼育した乳牛がまた地域の食卓に届けられ、あるいは乳製品加工工場で使われる。ガスや余剰熱は、発電や施設園芸での活用が可能だ。「ガスで電気を作り出して地域に戻すことで、地域エネルギーの自立化ができる」(熊谷氏)


地域循環型エコシステムのイメージ

ビオストックはまず、このバイオガスプラントの全国展開を事業の柱とする。発電事業者や農業法人との連携も含めて事業化し、「エコシステムを日本各地に作りたい」と熊谷氏は話した。

なお、糞尿を地域資源として活用する循環型エコシステムは、バイオマスリサーチがこれまで手掛けてきた案件でも、その萌芽が見られるという。新会社の副社長に就任する予定であるバイオマスリサーチ代表取締役の菊池貞雄氏によれば、北海道内では「95基が稼働しており、土壌改善効果などを多くの農業者が実感している」。


バイオマスリサーチ代表取締役の菊池貞雄氏

同社は北海道だけでなく九州・沖縄まで含めて日本全国に事業を展開しており、「農村地域の副収入として展開される地域も出てきている」(菊池氏)と、エネルギーの地産地消を実現した成功モデルも生まれ始めている。原発(原子力発電)になぞらえて“糞発”と呼ぶこの再生可能エネルギーの活用モデルを、NTT東日本と設立した新会社で「全国に展開していきたい」と同氏は力を込めた。

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