パナソニックの次世代通信技術がIEEEで採択、有線・無線・海中IoTにも適用

パナソニック ホールディングスは2022年11月28日、同社が開発した「Wavelet OFDM」方式をベースとする新通信技術が、IEEE標準規格協会が策定する次世代通信規格IEEE P1901cの作業部会において採択されたことを発表した。

IEEE P1901cは、電力線通信(PLC)規格を策定するIEEE P1901作業部会を母体として2022年5月に設置された新プロジェクトだ。IoTのユースケースを想定し、制約の多い環境で使われることの多いPLC技術を電力線以外の通信媒体にも展開して利用することを目的としている。

パナソニックが開発したWavelet OFDM方式とは、周波数利用効率が高く、高速伝送が可能なOFDM方式をPLC変調技術に用いたもの。IEEE P1901に正式採用され、高速電力線通信規格の「HD-PLC」にも使われている。

今回採択された次世代通信規格では、利用する通信帯域を標準モードの32分の1倍まで縮小できるようにすることで、利用周波数を従来のメガヘルツ帯からキロヘルツ帯まで拡張。これにより、様々な媒体でのさらなる通信の長距離化が可能になるという。

また、アンテナを利用して微弱電波による無線通信に適用することで、セキュアかつ通信範囲を制限可能な近距離高速無線を実現。従来困難とされていた海中でのIoT通信も実現できるという。パナソニックは2021年11月に、このWavelet OFDMを適用し、ループアンテナを利用することで通信範囲を数mmから数十cmに制限できる近距離無線通信技術「PaWalet Link」を開発している(2021年11月10日の発表資料)。

PaWalet Linkの概要説明図

PaWalet Linkの概要説明図

発表によれば、今回の次世代通信規格は、有線、無線、海中などの様々な媒体で利用できる通信技術を、1つの共通した半導体デバイスで実装することが可能。IEEE国際標準規格として採択され世界中の様々な分野への導入が進むことにより、IoT機器の導入コストの低減にも貢献することが期待されるとしている。

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