製造現場のIoT化最前線 “会社ぐるみ”での推進がカギ

日本の製造業DXが、着実な一歩を踏み出し始めている。矢野経済研究所の調査によると、2022年度の工場デジタル化市場は、前年比1.7%増の1兆7000億円となり、2027年度には、2022年度比16.3%増の1兆9800億円規模に達すると予測されている。「IoTを活用して、効率的な工場の操業に取り組む企業が増えている。近年は、カーボンニュートラルや省電力化の観点で、IoTツールを導入する企業も見られる」と日立システムズ 産業・流通営業統括本部 第二営業本部 第一営業部 主任の小林弘典氏は製造業DXの現状を語る。

日立システムズ 産業・流通営業統括本部 第二営業本部 第一営業部 主任 小林弘典氏

日立システムズ 産業・流通営業統括本部 第二営業本部 第一営業部 主任 小林弘典氏

製造業DXのトレンドは、IoTを活用した製造現場のデータ収集だ。例えば、対象となる製造装置にセンサーを取り付け、稼働状況をモニタリング。異常発生時には現場部門に通知するため、いち早く設備故障を把握できる。また、過去のデータをAIで分析し、異常が発生する前に部品を交換するといった予兆保全にも活用可能だ(図表1)。

図表1 プラントの安定操業に向けたデータ活用

図表1 プラントの安定操業に向けたデータ活用

さらに、データは“4M”の管理にも活かすことができる。4Mとは、Man(人)、Machine(機械)、Materia(l材料)、Method(方法)の4つの要素を指す。「従業員の作業を見える化(図表2)し、作業時間やシフトの見直しに活かせる。部品の需要予測などにも有効活用できる。まずは設備から入り、そこから人や材料に関するデータ収集・分析につなげていくというのが、一般的な流れだ」と日立システムズ 産業・流通営業統括本部 第二営業本部 第一営業部 部長代理の豊田賢一氏は話す。

図表2 作業進捗見える化のイメージ

図表2 作業進捗見える化のイメージ

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