ローカル5G活用の“本丸”はやはり製造業だ。Wi-Fiのカバー範囲や干渉の課題を克服するため、商用化当初から導入が進み、人手不足の深刻化に伴って自動化・省人化を支える基盤としてのニーズがいっそう高まっている。
導入は、業務日報のデジタル化やカメラ監視などの業務DXから始まるのが一般的だ。「映像解析にAIを用いる場合はリアルタイム性が求められ、Wi-Fiでは足りずローカル5Gを求めるケースが増えてきた」と丸文の藤井遥紀氏。そこからAGV(自動搬送車)/AMR(自律搬送ロボット)の高度制御へと用途が広がり、次の段階は生産設備そのものの無線化だ。

ネットワンシステムズは、オムロン、明治電機工業とともに、AMRの走行やミリ秒単位のリアルタイム性が求められるPLCタグデータリンク通信を対象に、Wi-Fi 6とローカル5Gの通信性能を比較する実証を行った。
検証の結果、AMRが高精細映像を扱う場面ではローカル5Gが高スループットを維持し、Wi-Fi 6で生じたデータ欠損が発生しなかった。また、Wi-Fiではローミング時に映像に乱れや一時停止が発生したが、ローカル5Gのハンドオーバーではそれらは見られなかった。実証では意図的にハンドオーバー環境を構築したが、カバーエリアの広いローカル5GはWi-Fiに比べ少ない基地局で運用できるため、ハンドオーバー自体が少ない。
PLC通信の比較試験では、PLC子機を移動するAMRに搭載。子機が1ミリ秒周期でカウントアップを繰り返すプログラムを動かし、50ミリ秒周期で子機から親機がデータを取得する設定で通信を検証したところ、「Wi-Fi環境ではデータ欠損が見られたが、ローカル5Gでは途切れなくデータを取得できた」(ネットワンシステムズの山本和弘氏)。この結果は、PLC間を無線で通信するケースや、製造ラインの頻繁な変更のためにはローカル5Gが不可欠であることを示している。

同社は、東京貿易テクノシステムとLiDARをローカル5Gでレイアウトフリー化する検証にも成功(図表1)。LiDARで取得した点群データをデジタルツイン空間に即時反映させるには80Mbps以上の大容量通信が必要だ。
図表1 ローカル5Gを活用したLiDARのレイアウトフリー化検証の構成

検証では、Wi-Fi 6で発生したデータ欠損をローカル5Gでは回避できることを確認。検証に用いたLiDARとローカル5G設備は、同社のイノベーションセンター「netone valley」に備え付けられたもので、特別な装置は用いていないという。
「LiDARは暗視カメラを使わず夜間も検知可能で、重要設備やエリアの監視用途を想定している」と同社の岡﨑絢哉氏は話す。今後はLiDARとVMSを連携し、より高度な空間デジタルツインシステムの実証も視野にあるという。

ネットワンシステムズ 岡﨑絢哉氏