データ活用は工場DXの中核だ。人手不足や少量多品種生産への対応という喫緊の課題を解決するには、生産機器やセンサーから得られるデータを分析し、生産性向上につなげることが欠かせない。最近では、製造現場のデータを経営判断に素早く生かすため、マネジメント層からもより緊密なデータ連携が求められている。
その一方、工場には様々なベンダーの機器が混在する。データ形式や通信仕様が異なれば、データを円滑に活用するのは難しく、設備を入れ替えるたびに改修が発生する。さらに、そうした環境では、取得したデータをMES(製造実行システム)やSCADA(監視制御・データ収集システム)、ERP、クラウドといった上位システムへ渡す際にも、この不統一が障害となる。
こうした課題を解決するため「OPC UA(Open Platform Communications Unified Architecture)」が作られた。異なるメーカーやシステムの間で、データの意味を保ったまま安全にやり取りするための国際標準規格(IEC 62541)だ。

米国を本拠(2026年4月現在。7月にEUに移転予定)とするOPC Foundationの国内活動グループである日本OPC協議会で代表幹事を務める戸井永剛氏は、「マルチベンダー、マルチプラットフォーム、マルチドメインの環境で、センサーからエンタープライズまで、産業オートメーションにおいて安全かつ信頼性のある相互運用性を実現することがOPC UAのビジョン」と説明する。多種多様な機器やシステムが混在する生産現場における“共通言語”として機能し、円滑なデータ連携を実現することがその役割だ。
OPCは1990年代、急速に普及したWindows PCから、生産現場の機器データを標準的な方法で扱うための「OPC DA(Data Access)」として1996年に誕生した。PLC(設備の制御装置)や工作機械、各種センサーといったOT機器では、ModbusやProfibusなど機器ごとに異なるプロトコルが利用されていたため、相互接続の自由度は低かった。OPC DAは、こうした機器データにWindowsベースのアプリケーションから共通の方法でアクセスできるようにした仕組みで、後継のOPC UAが2006年に登場して以降はこれらの従来仕様を「OPC Classic」と呼ぶようになった。
OPC Classicは異なるベンダーのOT機器データをWindows環境で共通に扱える点が画期的で、生産現場での汎用PCの活用を後押しした。だが、工場の情報化が進むにつれ、Windows環境に依存せずにデータを利活用できる仕組みが求められるようになった。また、OPC Classicで通信するデータは数値やメモリデータなど単純なものだったが、構造化した複雑なデータを扱いたいという声も大きくなってきた。加え、セキュリティへの要求も高まった。
OPC UAはこのようなニーズに対応するべく発展した。多様なOT機器のデータを、OSや通信方式を問わず、高いセキュリティを担保しながら扱えるようにすることで、単なる設備接続の仕組みから、幅広いプラットフォームで相互運用性を実現するための基盤へと進化した。
OPC UAは相互運用性を実現するために、「つなぐ・伝える・安全に」という技術コンセプトを掲げているが、具体的には「モデリングランゲージ」「フレキシブルなトランスポート」「セキュリティ」の3つを中核要素としている(図表1)。以下、それぞれについて見ていきたい。
