全国の高等専門学校(高専)生たちが無線技術活用のアイデアを競うコンテスト「高専ワイヤレステックコンテスト2025(WiCON2025)」の成果発表会が、「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2026」内で開催された。
WiCONは「高専が地域を変える!」をコンセプトに、全国の高専生がチームを結成し、無線技術を活用して地域課題の解決に取り組む。学生たちはアイデアの考案にとどまらず、実証や事業化も見据えて開発を進める。今回の成果発表会では、20の採択チームのうち15チームが登壇し、取り組みの成果を発表した。
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各チームが解決を目指した課題は多岐にわたるが、なかでも目立ったのが農業分野の取り組みだ。農業の担い手不足は年々深刻化しており、テクノロジーの利用は喫緊の課題となっている。
「東の都に憧れる北国のでんぱ同盟シーズン2」チーム(旭川工業高専)は、研究課題「でぃー農X -あなたの農業をDX化しませんか?-」の成果を発表した。スマートフォンやXRゴーグルで撮影した作物の画像をもとに生育状況などを推定するほか、位置情報も活用する。画像から得た情報と位置情報を紐付けることで、作業記録や作物管理のデジタル化につなげる狙いだ。
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ビニールハウス内ではGNSS信号を利用しづらいため、BLEビーコンを用いた自己位置推定を実装した。実証では、トマトの生育状況推定について一定の精度を確認した一方、光の加減によって精度が左右される課題も見えたという。位置情報についても1~2m程度の誤差が確認されており、今後はUWBなどの活用も検討する。
脱炭素対策も地域での取り組みが求められる分野だ。近年注目を集めているのが、海藻に代表される海洋生態系が大気中のCO2を吸収・貯留する「ブルーカーボン」と呼ばれる仕組みである。
このブルーカーボンの炭素貯留量をより正確に把握する取り組みが、「ezaki.lab-moba」チーム(鳥羽商船高専)の研究課題「水中カメラでのステレオ視による海底地形の3次元形状復元及びAIによる藻場の計測」だ。
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現状では、ブルーカーボンの評価は2次元的な手法が中心で、海藻の高さが考慮されにくいため、炭素貯留量を正確に把握することが難しい。同チームでは、iPadとGoProを用いた観測機を作成し、海中の藻場を撮影。撮影した動画から3次元モデルの生成を試みた。また、映像から海藻の種類を判別するAIモデルも開発し、アラメ、カジメ、アマモ、海底岩を分類する仕組みを構築した。
観測後に撮影経路や動画から生成したオルソモザイク(複数画像を補正・合成した地図状の画像)を確認できる藻場観測アプリも開発している。今後は、カメラ2台を用いたステレオ視によって3次元形状復元の精度を高め、体積に基づくブルーカーボン貯留量の推定を目指す。
災害対策も重要な地域課題の1つだ。大規模災害発生時には通信手段の確保が不可欠だが、公衆通信網が途絶した場合、誰がどこで救助を求めているのかを把握することは難しくなる。
そこで「おきなわ りうぇ~ぶ」チーム(沖縄工業高専)は、研究課題「5G×LPWAによるハイブリッド災害時デバイス『アドフォン』」に取り組んだ。
アドフォンは、スマートフォンとBluetoothで接続し、アドフォン同士をLPWA(LoRa)でつなぐことで、災害時のアドホックネットワークを構築するデバイスだ。LPWAによって各端末が中継機となり、バケツリレー式に情報を遠くまで運ぶ。1台でも5Gなどの公衆網に接続できれば、圏外の端末にも必要な情報を伝達できるようにする構想である。
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今回の取り組みでは、LPWAの低スループットでも必要な情報を送れるよう、AIによる情報圧縮技術を開発した。被災地の画像をAIが解析し、被害状況や人の有無など救助に必要な情報を抽出するほか、音声を文字起こしして年齢やけがの情報を取り出す仕組みも示した。AIで解析した情報をテキストとして送信するデモも行い、安定して送受信できることを確認したという。今後は、一般のスマートフォンとBluetoothで接続し、アドフォンの機能を周囲の利用者と共有できるよう改良を進める。
成果発表会の模様は、6月29日まで「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2026」公式Webサイトでオンデマンド配信される(配信ページ)。高専生が無線技術を生かし、地域課題にどう向き合っているのかを確かめてほしい。