「私たちは、今後数年間でほぼすべてのアプリケーションがAIアプリケーションになると考えている」
F5ネットワークスジャパンは2024年9月4日、記者説明会を開催。来日した米F5 Cheif Technology and AI Officerのクナル・アナンド氏はこう予見した。
このF5の予想は、アナリストらの予測をベースにしたもの。2027年には全アプリの56%、2030年には84%がAIアプリ、あるいはAIインターフェースを装備したアプリになるという。
また、F5が行った調査では、IT予算に占めるAI投資の割合はすでに18%に達しており、「私たちがこれまで見てきた中で最大の割合がAIに投資されている。私たちが経験したきた中でも、最も早いスピードで変革が進んでいる」とアナンド氏は語った。
F5は以前から提供するBIG-IPシリーズに、WebサーバーソフトウェアのNGINX、SaaSのF5 Distributed Cloud Servicesを加えた3本柱で、アプリケーションのデリバリーとセキュリティに関するソリューションを展開している。
F5ネットワークスジャパン カントリーマネージャーの木村正範氏は、生成AIの登場によって、F5が主戦場とするアプリケーションの世界の「ランドスケープは大きく変わっている」と話したうえで、なかでも「セキュリティリスクが問題になる」と指摘した。AIアプリケーションから機密情報や個人情報が漏洩するといったリスクである。
実際、企業のセキュリティ担当者もそう考えているようだ。F5の調査によれば、AI関連支出に占めるAIセキュリティの割合は現在でも9%と、GPU/アクセラレータ関連ハードウェアと同じ比率を占めているが、2年後の2026年には13%になる見込みで、その増加率は44%だ。
「これまでの2年間はAIのインフラ整備に最もお金を使っていたが、今後2年間はセキュリティへの投資が最も増加する」(アナンド氏)
AIアプリケーションのセキュリティを担保するためのポイントとして特に強調されたのは、APIセキュリティである。APIセキュリティは、F5が最近最も注力している領域の1つだ。
「APIこそが、AIがどのように機能するかを決めているところがある。APIセキュリティなくして、AIセキュリティもない」とF5 フィールドCISO(最高情報セキュリティ責任者)のチャック・ヘリン氏は説明した。
また、ヘリン氏は、あらゆるアプリケーションがAI搭載になっていくなか、「Good BotかBad Botか――。AIエージェントを見極める能力が非常に重要になっていくが、F5はグローバルで様々な情報を収集しており、優れたボット識別能力を提供できる」ともアピールした。