CDNはトラフィック増にどう対応?――ライムライトの取り組み

Webサイト上でのコンテンツやサービスの提供、あるいは映像のストリーミング配信など、インターネットを利用したビジネスを展開する上で大きな鍵を握るのが「レスポンス」だ。多くのユーザーがWebサイトに殺到し、レスポンスが大幅に悪化するなどの事態が発生すれば、ユーザーは別のサービスに移ってしまいかねない。また、映像のストリーミング配信などにおいて、たびたび映像が止まってしまうような状況も避けたい。

しかし現実問題として、企業が適切にトラフィック量を見極めて必要な帯域を確保するのは簡単ではない。そのうえ、広帯域のネットワークの確保には大きなコスト負担が発生する。自社だけでレスポンスの問題を改善することは容易ではない。

そこで多くの企業が活用しているのがCDN(Contents Delivery Network)だ。世界各地に配置したサーバーでコンテンツをキャッシュし、そこからコンテンツを配信することによって、Webサーバー(オリジン)のパフォーマンスや接続されているネットワークの帯域幅にかかわらず、コンテンツを迅速に配信する。これによってユーザーは快適にWebサイトを利用したり、ストリーミングされた映像をストレスなく楽しめるわけだ。

このCDNサービスを提供している1社がライムライト・ネットワークスである。WebサイトやWebアプリケーションのレスポンス向上、ビデオストリーミングのスムーズな配信、あるいはゲームやソフトウェアの快適なダウンロードなど、幅広い用途でライムライトのCDNは活用されている。

同社のCDNの特徴の1つとして挙げられるのは、集中型アーキテクチャの採用だ。具体的には、サービス基盤をプライベートネットワークで構築しており、これによって外部からの攻撃や不正アクセスにさらされることがない、セキュアでコントロール可能な配信基盤を実現している。

Webサーバーを保護する、クラウドセキュリティサービスを備えていることも特徴だ。CDN層、スクラビングセンター層、そしてクラウド型WAFの3層でユーザーのシステムを保護し、これによってDDoS攻撃やSQLインジェクション攻撃、さらにはパスワードリスト攻撃といったサイバー攻撃を防ぐことを可能としている。

ビデオ配信に大きな強みこうしたライムライトのサービスを支えているのが、高いエンジニアリング技術だという。同社でサービス・リライアビリティ・エンジニアリング(SRE)チームマネージャを務めるショーン・ロビンス氏は、ソフトウェア技術の改善によりパフォーマンスを大幅に向上していると語る。

「昨今の大きな活動の1つにキャッシュのチューニングがある。ソフトウェアの改善により、パフォーマンスを劣化させることなくキャッシュとして蓄積できるデータを拡大した。また、メモリキャッシングの自動化により、当社が扱うキャッシュのうち、今までよりも27.6%以上のデータをメモリのみでキャッシュできるようになった。これは大きな改善点だ」

(左から)ライムライト・ネットワークス ソリューション・エンジニアリング ディレクターのカイル・フェイバー氏、SREチームマネージャのショーン・ロビンス氏
(左から)ライムライト・ネットワークス ソリューション・エンジニアリング ディレクターの
カイル・フェイバー氏、SREチームマネージャのショーン・ロビンス氏

ライムライトが扱うトラフィックは、2年前と比較すると倍以上に拡大しているそうだ。そうした中でもパフォーマンスを維持できている理由としては、このソフトウェア技術の役割が大きいとロビンス氏は続ける。

「高性能なハードウェアが続々と登場しており、最新のものを使うことで効率性は高まる。ただ、ハードウェアだけでのパフォーマンス向上には限界がある。そのため、ソフトウェアの改善を同時に進めることで、パフォーマンスの大幅な向上を可能にしている」

様々なコンテンツ配信に使えるライムライトのCDNだが、特に同社が強みとしているのはビデオストリーミングである。同社のソリューション・エンジニアリングのディレクターであるカイル・フェイバー氏は次のように述べる。「ストリーミングサービスにおいて動画が一時的に止まってしまう、いわゆるリバッファリングが発生すると視聴者には大きなストレスになる。その改善に積極的に取り組んできた結果、リバッファリングをおおよそ40%解消できるようになった。これは顧客にも高く評価されている点だ」

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