監視カメラの映像など各種のセンシングデータをリアルタイム解析する「AIエッジ」に磨きをかけているOKI。同社のブースでは、このAIエッジを活用して様々な“状態変化”や“異常”を自動検知する各種ソリューションが体験できる。
目玉は、カメラ映像を活用したAIエッジの活用例だ。
その1つが「AISION 車両センシング」。道路を撮影したカメラ映像をリアルタイム解析して、通行量や異常走行などを検知するソリューションだ。この3月には三重県が導入し、主要道路の交通状況の計測に用いている。
AISIONを使った逆走検知のデモ。黄色の枠内を通る車両の数、速度や進行方向を自動検知する
最大の特徴がシステム構成のシンプルさだ。監視カメラで道路を撮影し、その映像をAIエッジコンピューター「AE2100」に読ませる。指定したエリアを通行する車両数のカウントや、スピード違反・逆走車の検知などが可能だ(上写真)。
AIによる解析・判定をクラウドではなくローカルに設置したAE2100で行うことで、リアルタイムにアクションを起こせることももう1つの特徴だ。AE2100には、920MHz帯を使った無線通信機能も内蔵しており、例えば危険運転を検知した場合に、撮影ポイントの先にある案内板へ解析結果を送信して、注意を促す表示をするといった迅速な対応が可能になる。
AIエッジコンピューター「AE2100」
三重県は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点でこのシステムを導入したという。交通量などを測定し、道路交通状況の推移を公表することで住民に行動変容を促すのが目的だ。
こうした用途のほか、交通量が増える特定の時間だけ通行車両を監視して車線を規制する、積載物の多いトラックを検知して運転手に注意喚起するなど様々な使い方が可能だ。
また、OKIでは夜間や降雨・降雪時における認識精度の向上を図っており、例えば渋滞・混雑の自動検知や、降雪でスタックした車両の検知なども可能にするバージョンアップを計画しているという。
通行人の「マスクなし」も自動検知
コロナ対策にも、AIエッジは活用できる。
OKIブースでは、感染症対策ソリューション「Smart Entrance Eyes」も展示している。通行人を捉えたカメラ映像をリアルタイム解析して、体表温度とマスク着用の有無を自動検知するものだ。顔認証エンジンもAE2100に搭載しているため、例えばマスクをしていない人を瞬時に特定することも可能。感染症対策を効率的に運用できる。
Smart Entrance Eyesによる判定結果。AIエッジ処理により、リアルタイムの解析・表示が可能だ
上写真のように複数人を同時に認識して、判定結果をリアルタイムに表示する。撮影した映像から顔を検出して切り出し、「体表温度の測定」「マスク着用判定」「顔認証」まで実行。さらに外部システムと連携して、要チェック人物の通過をメールで通知したり、現場のモニター等にマスク着用を促す表示をしたりすることも可能だ。
フライングビューのデモ映像
このほかにもOKIブースでは、4台のカメラ映像から車両等の周囲の俯瞰映像を合成する、自由視点映像モニタリングシステム「フライングビュー」をはじめ、映像とAIを駆使した様々なソリューションが体験できる。AIとエッジコンピューティング活用に関心のある方は必見だ。