ジュニパーネットワークスは2022年2月2日、SD-WAN「Session Smart Router(以下、SSR)」シリーズが、同社のクラウド管理プラットフォーム「Mist Cloud」および「Mist AI」を用いて導入・設定・運用できるようになったと発表した。
一般的なSD-WANではIPsecによるオーバーレイネットワークを用いて通信するが、「IPsecでは拠点間で暗号通信用のトンネルを構築して通信するため、中身を可視化することが難しかった」とジュニパーネットワークス 技術統括本部 エンタープライズ アーキテクトの和久利智丈氏は指摘する。
ジュニパーネットワークス 技術統括本部 エンタープライズ アーキテクト 和久利智丈氏
対して、SSRはセッションベースでルーティング可能な「Secure Vector Routing(SVR)」という技術を搭載している。「セッションベースで通信を行うため、ソースとデスティネーション(宛先)のIPがわかる。利用するアプリケーションも可視化できるため、ユーザーに応じて通信を許可する/しないといった柔軟な制御が可能で、ゼロトラストネットワークを意識したソリューションだ」
また、ジュニパーは従来から、クラウドから管理するプラットフォームであるMist Cloudや、トラブルシューティングなどを補助するMist AIを提供していた。「Wi-Fiルーターからスイッチ、コアネットワークまで共通のクラウドで管理でき、15万台のネットワーク機器を一元管理しているユーザーもいる。また、AIを用いてネットワークを利用するユーザー体感を高めたり事前にトラブルを防止するなどの機能を利用できる」
今回の拡張について、和久利氏は「いわばSSRとMistが”結婚”したようなもの」と表現する。
「単にMistシリーズにSD-WANが組み込まれたというだけではない。SSRはセッションベースで通信を可視化するため、AIが分析するために必要なデータを取得しやすい。取得したデータをクラウドに共有することで、豊富なデータを分析することが可能になるため相性がいい。ネットワークを管理するだけでなく、AIを用いてネットワークのサービスレベルを可視化し、品質を保証できるようになる」という。
MistとSSRの融合イメージ