
ガートナーは2026年7月22日、イベント「ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメント サミット2026」を開催した。オープニング基調講演では、ガートナー シニアディレクター アナリストのオスカー・イサカ氏が講演し、AIによるサイバー脅威の高度化を踏まえたセキュリティ対策について説明した。
「高性能なAIによってサイバー攻撃が自動化され、防御が追いつかなくなるほどの脅威が到来しつつあるのか。それとも一部で危機感が過度にあおられているだけなのか」――。イサカ氏はまず、サイバーセキュリティ業界で盛んなこうした議論よりも、重要なことがあると指摘した。それは、サイバー攻撃の自動化がどこまで進んでいるのかを見極めることだ。
イサカ氏によると、不正な改造を加えたAIではなく、ガードレールを備えた一般的なAIでも、侵入対象のシステム環境の偵察やログイン情報を突破する経路の特定、システムの脆弱性の洗い出し、攻撃コードを実行するところまで、一連の攻撃プロセスを高速に自動化できることはすでに実証済みだ。

ただ、防御側にも対応する手段があるとイサカ氏は説明した。「防御側は自社のシステム構成やインフラを事前に熟知しているため、AIを活用すれば異常な挙動をより早く検知し、自動化された攻撃であっても早期に食い止められる」。攻撃側は標的ごとに手口をカスタマイズする必要があるが、防御側は自社の限られた環境に絞ってAIによる防御を継続的に強化できるため、費用対効果の面でも優位に立てるという。
さらに、イサカ氏はAIを活用したソフトウェア開発も防御側にとって重要な武器になると指摘。長年の運用で積み重なった非効率・老朽化したシステムをAIによって効率的に作り直し、脆弱性を自動的に修正できれば、攻撃者に狙われる隙そのものを減らせるからだ。
「AIの最も具体的な価値は、人員の置き換えではなく、こうした既存システムを安全性の高い形に作り直すこと(リファクタリング)にある」