アマゾン ウェブ サービス(AWS)ジャパンは2026年8月31日、同社が主催する「フィジカルAI開発支援プログラム」の成果発表会を開催。プログラムに採択された51社のうち、13プロジェクト・14社が取り組みの成果を発表した。
同プログラムは、AWS上でロボット基盤モデルの開発を目指す企業を対象に、データの収集・前処理からモデルのトレーニング、シミュレーション、実環境へのデプロイまで、一連の開発パイプラインの構築を支援するもの。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 代表執行役員社長の白幡晶彦氏は、「日本のロボティクス分野が数十年にわたって培ってきた技術や知見に生成AIを掛け合わせることが、世界に対する最大の競争力になる」と述べた。そのうえで、フィジカルAIによる社会課題の解決に不可欠な要素として「スピード」「現場の力」「クラウド」の3点を挙げた。
「スピード」については、開発の仮説・実験・改善のサイクルを高速に回すスタートアップ企業の機動力が、フィジカルAIの実装を牽引すると指摘。「現場の力」では、物流・建設・製造などの現場で蓄積されてきた知見とスタートアップ企業の機動力を融合することが重要になるという。
また、「クラウド」については、「基盤モデルの学習や大規模なシミュレーションに必要な計算資源をオンプレミスだけで確保するのは現実的ではない」と説明。必要な計算資源を必要なときに確保できるクラウドは選択肢の1つではなく、フィジカルAIの開発に不可欠な基盤だと強調した。

オムロン サイニックエックス リサーチバイスプレジデントの牛久祥孝氏は、「理解し、行動し、振り返るAI」の実現に向けた研究成果を紹介した。
同社が課題として捉えているのが、フィジカルAI開発にかかる人的コストの高さだという。牛久氏は「現状のフィジカルAIは、人が膨大なデータを収集し、大規模なVLAモデル(視覚・言語・行動モデル)を構築しなければ成り立たない」と指摘。この人手に頼る現状を打破するために、ロボット自身がSee(見る)→Understand(理解する)→Act(行動する)→Reflect(失敗に気づき、説明する)という4つのステップを自律的に繰り返しながら精度を高めていく仕組みの構築が必要であると述べ、各フェーズの研究成果を披露した。
例えば、SeeとUnderstandのフェーズでは、AIが動画内の人の動きを正しく理解できるかを評価。最先端モデルであっても、動きが速い場合や人物が後ろ向きの場合など、時系列情報の把握に誤りが多いことが分かったという。また、AIによっては自らの犯したミスを見逃しやすいことも判明し、「フィジカルAI開発には、いろいろなAIがお互いの弱点を補い合いながら評価し合うやり方が必要だ」と牛久氏は語った。
オムロン サイニックエックスが目指す「理解し、行動し、振り返るAI」の概要