総務省 田原電波部長「ローカル5G本格化に心配なし。6Gはグローバル・ファーストで」


――日本でも5Gサービスがいよいよスタートしました。しかし期待が高まっていた分、エリアの狭さなどにがっかりされた方も少なくありません。

田原 昨年4月に電波を割り当てた際に各社から出された開設計画を見て、最初はかなり限定的なエリアになるだろうと予想していたので、皆さまから「期待外れ」というご意見は頂くだろうと考えていました。ミリ波を使いこなすのに、まだ各社は苦労されている印象です。とはいえ、当初の計画と比べると、前倒しで整備が進んでいます。皆さん、頑張っていると思います。

――5Gに現在割り当てられているミリ波の28GHz帯とSub-6(6GHz以下)の3.7GHz/4.5GHz帯は、どちらも今まで移動通信に使われてなかった高い周波数です。広帯域を確保できるメリットがある反面、遠くまで電波が届くにくい特徴を持っています。

田原 特に28GHz帯はそうですが、Sub-6の3.7GHz/4.5GHz帯も従来より高い周波数の電波ですから、それほど遠くには飛びません。基地局数がまだ少ないこともあり、どうしてもエリアは限定的になります。5Gのエリアをより広い面で作っていくためには、より低い周波数を使っている4Gバンドの5G化が必要になります。

総務省 総合通信基盤局 電波部長 田原康生氏

――4Gバンドの5G化は、いつ頃から可能になるのですか。

田原 制度整備は夏には終わりますから、今年度の後半には、4Gバンドへの5G導入が可能になります。ただ、要は4Gバンドを削り、5Gに使うという話ですから、バランスを取りながらでないと4Gユーザーの通信速度が遅くなってしまいます。

――では、5Gユーザーの拡大に合わせて、5Gのエリア拡大に弾みが付いていくということですね。

田原 そうですね。具体的な展開戦略は各社に委ねられていますが、例えばソフトバンクは以前から4Gバンドへの5G導入について積極的に発信しています。

ただ、4Gバンドの5G化により、5Gのアンテナピクトが立つエリアが広がれば、「それでよし」とは我々も決して考えていません。広い帯域幅を使い、5G本来の性能が出せるSub-6やミリ波によるエリア整備を「しっかりやっていただきたい」と各社にはお願いしています。NTTドコモやKDDIは、Sub-6等の基地局をかなり前倒しで整備すると発表していますので、5Gの超高速性が出せるエリアもどんどん増えていくと思います。

――5Gに関しては「海外と比較し、日本は出遅れているのでは」という指摘も多く聞かれますが。

田原 想定以上に中国や韓国は「スタートダッシュを図ったな」との感想は持っていますが、そうは言っても5Gはまだ始まったばかりです。

5Gらしいサービスは、4Gバンドの5G化によって面を作りながら、4Gと連携するノンスタンドアロン(NSA)構成から5G単独のスタンドアロン(SA)構成に移行していく中で本格化していきます。その中で日本はしっかり戦っていけばいいと考えています。

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