5G網の“クラウドネイティブ化”の先進地域はAPAC

レッドハットが2020年10月21日と22日に開催した「Red Hat Forum Asia Pacific 2020」は、オープンソースソフトウェア(OSS)関連ではアジア太平洋地域における最大級のイベントだ。21日に実施した報道関係者向けセッションでは「金融サービス」と「通信」の2つの業界を特に取り上げ、デジタルトランスフォーメーションの必要性と、それを支えるオープン化およびクラウドネイティブ化の動向を解説した。

レッドハット アジア太平洋地域担当 通信事業部 セールス シニアディレクターのベン・パニック氏によれば、日本をはじめ各国の通信事業者が現在「ネットワーク構築・展開の計画を立て直している」状況だという。その背景には様々な要因があるが、なかでもネットワーク運用の自動化と、クラウドネイティブ化が業界内での大きな動きになっていると強調した。


通信事業者の5つのトレンド

自動化を進める理由としては、「顧客体験を向上させること、人的エラーを無くすこと」(パニック氏)が挙げられる。特に5Gでは、ユーザーやアプリが求める要件に適応する性能・機能を持つ仮想ネットワークを生成して提供するネットワークスライシングや、ユーザーの近くでコンピューティング処理を行うマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)といった技術が使われることから運用が複雑化する。負荷を高めずにこれを運用するには自動化が不可欠だ。

通信事業者のネットワークそのもののクラウドネイティブ化については、「これまで5年間ほどをかけて、通信事業者はネットワークを徐々に仮想化してきた。それが今、次の段階に移行しようとしている」とパニック氏は話す。次の段階とは、「VNF(仮想ネットワーク機能)から、コンテナ環境へのシフト」だ。つまり、クラウド上でのアプリケーション開発・提供において主流化しつつあるコンテナやマイクロサービスの手法を用いて、ネットワーク機能を開発・提供する「CNF(クラウドネイティブ ネットワーク機能)」によるネットワーク構築が始まっているのである。


レッドハット アジア太平洋地域担当 通信事業部
セールス シニアディレクターのベン・パニック氏

パニック氏はこの動きを「APACがリードしている」と述べた。例に挙げたのが、日本の楽天とインドのVodafone Ideaだ。また、オーストラリアやフィリピンでも「かなりプロジェクトが進んでいる」。

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