NTTドコモは2022年2月1日、5Gを活用した高度な遠隔医療の実現を目指し、エクモカーと病院間をつなぐ高精細リアルタイム映像伝送および双方向音声伝送システムを、千葉大学医学部附属病院に提供すると発表した。千葉大学病院では本日より、同システムの運用を開始する。
高精細リアルタイム映像伝送および双方向音声伝送システム |
新型コロナウイルスが流行するなか、医療従事者による専門的かつ迅速な対応の必要性が高まっており、負担が増加している。他施設からの ECMO(体外式膜型人工肺)装着患者の搬送や、救命のために緊急処置が必要な患者用の移動式診療スペースとしての専用車両であるエクモカーに同システムを設置することで、救急搬送時においても質の高い医療サービスの提供やオペレーションの効率化が可能となり、救急現場における医療従事者の負担が軽減される。
具体的には、エクモカーに高精細リアルタイム映像伝送システム「LiveU」と映像・音声配信クラウドサービス「Zao Cloud View」を搭載し、ドコモの5Gネットワークを通じて搬送中の患者の映像やバイタルデータを送信するシステムで、最大4つの映像を病院へ同時に送信し、病院側では1つの画面ですべての映像を確認することができる。
これにより、搬送中においても接続先の病院から高精細な映像を確認しながら的確な指示を受けられるため、効率的かつ早期に患者への処置を行うことが可能。加えて、録画・録音機能を利用することで、救急搬送時の状況や処置内容が研究データとして蓄積されるので、今後の救急医療現場の改善にも役立てることができる。エクモカーから搬送状況などの高精細リアルタイム映像伝送を行うことは国内初の試みだという。
今後、千葉大学病院は同システムの活用範囲を災害発生時に対応するDMATカーへ広げるなど、コロナ患者の対応以外にも幅広く活用する検討を進め、より多くの患者への治療支援の実現を目指すとしている。