東京都が2020年度にスタートした「5G技術活用型開発等促進事業」は、都と民間事業者の連携による5Gサービスの開発、特にスタートアップ企業の支援を目的としている。2023年2月16日に開催した「Tokyo 5G Boosters Project DEMODAY2023」で、その成果を発表した。
東京都副知事の宮坂学氏によれば、この3年で8社の開発プロモーターが同事業に参画。都や通信事業者等も連携して、30社以上のスタートアップに対して製品開発や実証、プロモーションなどの支援を行っている。「メタバースや遠隔操作ロボットなど、様々なジャンルのスタートアップが参加し、その中からサービスローンチを始めた企業も出てきている」という。
5Gを活用したサービス/ビジネス開発を支援するこの取り組みは、東京都が進めるDX施策「スマート東京」(参考記事)の1つだ。都内5カ所をこのスマート東京の先行実施エリアとし、各エリアの地域特性を活かしたDXのモデルを構築。それを都内各地へ広げていこうとしている。
5G Boosters Project DEMODAY2023では、この先行実施エリアの1つである「西新宿」での取り組みについて紹介。東京都デジタルサービス局 デジタルサービス推進部の都竹志津香氏が、これまで行ってきた施策とスタートアップ支援体制の拡充等について説明した。
都竹氏によれば、西新宿では5G基盤の整備と、5G活用サービスの実装の2軸で取り組みを進めている。
基盤整備については、5GアンテナとWi-Fi、防犯カメラやセンサー等を備えた「スマートポール」を設置し、5Gが使えるエリアを広げている。サイネージ型とポール型の2種類があり、「すでに30基ほどを整備」(都竹氏)。サイネージ型は情報発信のツールとしても活用されており、「地震が発生したときには、近くの避難所を案内することにも使える」という。
5Gサービスの実装に関しては、2021年度までは技術検証の段階だったが、2022年度からは「都市実装の段階にステップアップ」した。2024年度までにデジタルサービスの実装を進めるべく、スタートアップが開発したサービスの実証や、都民がそれを体験できるイベントの開催などを始めている。
この都市実装を円滑に進めるためには、参加企業が単にサービスを開発するだけでなく、「規制や運用ルールの整備、ビジネスモデルの構築に行政も一緒に取り組んでいく必要がある」と都竹氏。そこで新たに設立したのが、「西新宿先端サービス実装・産官学コンソーシアム」だ。