契約数は16億、ミッドバンドの人口カバレッジは40%、1人当たりの月間平均データ使用量は21GB――。
エリクソンモビリティレポートの最新版によれば、これが2023年末時点における世界の5Gの状況だ。2023年だけで6億件の5G契約が追加された。昨年時点の予測(2023年末に15億)を上回る伸びを見せており、2029年には53億を超えるとエリクソンは予測している。
人口カバレッジについてはエリクソンは、ネットワーク容量の拡大につながり、かつ5Gの特徴をより発揮できるミッドバンドを重要視しているが、このミッドレンジのカバレッジは世界で40%に達するという。
一方、すべての帯域を合わせた人口カバー率は、45%に到達。2029年には、現在の4Gに匹敵する85%まで達する見込みだ。
エリクソン・ジャパン CTOの鹿島毅氏は「北米と中国でミッドバンドのカバレッジが大きい」と指摘した。下図表の通り、この2地域が突出している状況だ。
FDD帯域(ローバンド)に比べて広い帯域幅が使えるミッドバンドのカバレッジは、5Gのユーザー体感に大きく影響する。そのうえで鹿島氏は、パフォーマンスへの影響を考慮すると「帯域が100MHz以上で、MassiveMIMOが展開されていること」をポイントに挙げた。日本の通信事業者はこれらの現状を公開していないが、「5G体験を提供するための中心」(同氏)とする。
もう1つ、今回のレポートでフォーカスされているのが、ユーザー当たりのトラフィック量だ。世界の月間平均は、スマートフォン1台当たり21GB。2029年にはこれが56GBまで増加する見込みだ。
国別に見ると、非常に高い伸びを示しているのがインドだ。5Gの商用サービスを2022年10月にスタートしたばかりであるにもかかわらず、わずか1年でスマホ1台当たりの月間トラフィックは31GBと世界最高水準にまで伸びた。2029年には、先述の世界平均を遥かに超える75GBまで達すると予測されている。