NECは2024年10月28日、量子コンピューティング技術を活用したフォークリフト出荷時の荷積みと配送先の組み合わせ(配車)を最適化するシステムを構築し、同月から豊田自動織機の高浜工場で本格稼働を開始したと発表した。
高浜工場では、国内向けに年間約4万台のフォークリフトを生産している。ただ、フォークリフトは顧客がオーダーする車両の仕様が多岐にわたり、重量や形状が1台1台異なるため、複数台の輸送トラックへの荷積みと配車を同時に最適化しようとすると、組み合わせ数が約1兆通りで膨大となり、従来技術では自動化が困難で、出荷計画業務は担当者の負担となっていた。また、こうした複雑な計画立案を精度高く実施するためには、実践での経験が必要なため、担当者の人材育成も課題となっていた。
そこでNECは、豊田自動織機と同社の情報システムの開発・運用を行う豊田自動織機ITソリューションズと共同で、量子コンピューティング技術を活用した「荷積み」と「配車」を最適化するシステムを構築。同システムでは、トラックの最大積載重量、荷台サイズ、配送先など、約100項目にわたる制約条件を加味した組み合わせ最適化問題を解くアプリケーションを開発した。
同システムを高浜工場での出荷計画業務に用いたところ、熟練者の約6分の1以下の時間で計画を立案することができ、同時に積載率向上を実現。また、これらにより輸送費の低減、CO2削減にも寄与するという。