IDC Japanは2019年8月27日、国内5Gネットワークインフラストラクチャ市場予測を発表した。
これによると、国内5Gインフラ市場は2023年に3999億8900万円に達する見込みだ。2019年9月の5Gプレサービス開始に向けて5Gへの期待が高まっているが、その高揚感に反して、実際の「5Gサービスの展開速度は緩やかになる」とIDCでは予測しているという。
そのため、5Gインフラの整備も当初は限定的なエリアにとどまり、本格化するのは2021年以降。2021年の国内5Gインフラ市場の前年比成長率は229.8％と、2020年の3倍以上に一気に拡大する見通しだ。
ただし、5Gインフラ市場の中心である基地局／RAN（Radio Access Network）の市場規模は、4G/LTEのピーク時には、少なくとも2023年時点では届かない。基地局／RANは5Gインフラ市場の66％を占めるが、2023年の市場規模は2623億2000万円と予想している。5GではC-RANやCloud-RANと呼ばれる、RU（Radio Unit）をBBU（Base Band Unit）に高密度に収容するRANアーキテクチャが中心になり、設備投資の効率化が進むことが一因だという。
5Gインフラ整備は、通信事業者向けルーターおよびイーサネットスイッチ市場にも好影響を与える。コアネットワークの構築に加えて、MEC（Multi-access Edge Computing）のようなエッジ拠点の仮想化ネットワーク基盤といった新たな需要を生み出すからで、固定通信向けも含めた2018～2023年の年平均成長率はルーター市場が7.0％、スイッチ市場が16.7％となる。
IDC Japan グループマネージャーの草野賢一氏は、5Gインフラベンダーに対して、「サプライヤー選定後こそが重要である。導入する機器の実際の性能や導入時の省力化への貢献などで、最終的な導入量は大きく変わってくる。導入開始後の製品の改善や、通信事業者へのサポートに選定サプライヤーは可能な限りのリソースを費やし、他のサプライヤーに対して優位な立場構築に尽力すべきである。サプライヤー選定後も気は抜けない」と述べている。
国内5Gネットワークインフラストラクチャ市場 支出額予測
